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園児の命を守る最新装備ってどんなもの? 送迎バスの「車内置き去り防止装置」をいち早く導入する幼稚園に聞いた (1/2ページ)

園児の命を守る最新装備ってどんなもの? 送迎バスの「車内置き去り防止装置」をいち早く導入する幼稚園に聞いた

この記事をまとめると

■幼稚園児・保育園児が送迎バスの車内に置き去りにされる事故がたびたび起こっている

■早くから車内置き去り防止安全装置を送迎バスに設置している川越幼稚園を取材

■システムの詳細や使い勝手、使用の上で心がけていることについて聞いた

システムの詳細や使い勝手について聞いた

 外気温が25℃を超える日が増えてきました。JAFが実施した検証テストによれば、外気温が23〜25℃の日でも、直射日光のあたる場所に停めた車内は1時間ほどで車内温度が50℃近くまで上昇するという結果が出ています。これが真夏の35℃の炎天下では、わずか15分でも人体に危険な温度にまで上昇。エンジン停止・エアコン停止をした車内に子どもやペットを放置したまま、「ちょっとだから」「すぐ戻ってくるから」と、買い物などに出かけるのは絶対にやめてほしい危険行為ですね。

 そして子どもたちの安全をもっとも優先しているはずの幼稚園・保育園といった施設の送迎バスでも、車内置き去りによる痛ましい事故がたびたび起こっています。2021年には福岡県の保育園で、5歳の園児が送迎バスに取り残されて熱中症で亡くなり、2022年にも静岡県のこども園で3歳の園児が送迎バスに置き去りにされて亡くなっています。どちらも、確認不足や思い込みといったヒューマンエラーが主な原因。もし車両側に何かしらの防止装置があったなら、救えた命だったと考えられます。

 こうした事態を重くみて、国土交通省は2022年12月20日に「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のガイドライン」を策定し、2023年4月1日から装置の設置を義務化することを決定しました。ただ、設置には1年間の猶予があるということで、実際にはまだあまり積極的に設置に動いている施設は多くないと聞きます。

 そんな中、早くから車内置き去り防止安全装置を送迎バスに設置し、実証実験に協力しているという、埼玉県の川越幼稚園を取材することができました。設置しているのは、パイオニアのAI搭載通信型オールインワン車載器「NP1」をベースに、車内置き去り防止安全装置の機能に特化した特別仕様モデル。そのシステムや、実際の使い勝手はどうなのでしょうか。

 川越幼稚園では、園児の約半数強にあたる60名ほどが送迎バスを利用しており、バス2台で4コースをまわっています。中型バスを使用し、1回のコースで1台に乗車するのは20名ほどとなっています。バスのフロントガラス左上あたりにNP1特別仕様モデルの本体が設置されており、バスの最後部には安全確認ボタンが設置されています。国土交通省のガイドラインで定められた車内置き去り防止安全装置の要件は、「降車時確認式」と「自動検知式」の2種類がありますが、NP1特別仕様モデルはこの両方の条件を満たしているのが特徴です。最後部に設置された安全確認ボタンが「降車時確認式」のための装備で、「自動検知式」ではカメラで人型を検知するとともに、マイクで子どもの泣き声を検知するシステムとなっています。

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