しなやかな足まわりと旋回性能の高さを確認
走り始めてまず感じることは、とても滑らかに動き出すということだった。試乗車はPHEVだが、今回はハイブリッドモードで走ってほしいとのこと。よって、アクセルを少し踏み込むとエンジンが始動してしまうのだが、ノイズも程よく抑えられていて静粛性はまずまず。のちにエコモードで走るとモーター領域が広がり更に静粛性がアップして滑らかさがより感じられた。言わずもがな、EVで走れば静けさはもっと高まる。このクルマにクラウンという冠を与えることが少々疑問だったが、この滑らかさと静粛性があるのなら納得もできそうだ。
コースインしてペースを上げると、旋回性がかなり高いことが感じられる。ステアリングを少し切ったところからリヤが追従し、キビキビとした身のこなしを展開するのだ。PHEVなのだからおそらく車重は2トン前後だろうが(車両重量は未公表)、それをものともせずに駆け抜けて行くところが面白い。けれども、だからといって足まわりをガチガチに引き締めたような感覚はなく、しなやかさも残しているところが好感触だ。
重量級をキビキビスポーティに走らせようとすると、どうしてもガチガチになりがちだが、そこは後輪操舵や四輪駆動があってこその仕立てのようにも感じる。のちにスポーツモードに変更し、足まわりやDRSがスポーツ方向に変化したとしても、クラウンらしい所作を忘れてはいない。
クラウンの担当主査である本間裕二氏は「おひとりおひとりに合ったクラウンをと、4つのモデルを展開しますが、このスポーツは、上質でありながらも、俊敏でスポーティな走りを提供できるように開発を行ってきました。新たなカタチのスポーツSUVを提案したいと思っております」と語っていた。
その言葉どおり、プロトタイプながらもしなやかかつスポーティだったクラウンスポーツ。正式に登場した時、その方向性がどこまで引き上げられているのか? また、HEVの仕上がりはどのようになるのか? 夏から秋にかけて話題になりそうなこのクルマの公道での姿を早く見たいものだ。