クラウンセダンの「全長5m超え」ってデカすぎじゃない!? タクシーやパトカーに向かないサイズで果たしてどうなる? (2/2ページ)

スケールダウンしたビジネス・クラウンの登場を切に望む

 先代LSがデビューしたときに、日本でのセルシオの最終型からLSにタクシー車両として乗り換えた個人タクシードライバーを取材したことがある(現状については確認していないが、当時レクサスはタクシー車両としての販売をイメージの問題があるので原則禁止していると聞いていたが、実際は結構走っていた)。ちなみに購入したのは全長が5190mmになるロングホイールベース車であった。

「新型、しかもレクサスになってお客さんの評判もいいのでは?」と聞くと、「クルマの性能自体の問題というよりも、ホイールベースが長くなりすぎたので、たとえば高速道路の継ぎ目などで前輪が踏んだあと、後輪が踏む、その感覚が一般車より目立って長くなり違和感を覚えるお客も多く、評判はいまひとつ」と教えてくれた。リムジンなどと呼ばれるクルマに乗り慣れているリッチな人たちには当たり前のことでも、多くの日本人は違和感を覚えてしまうようである。

 今回はクラウンセダンの話なので、法人タクシーは別としても、個人タクシーレベルでは新型クラウンタクシーに乗るドライバーは出てくるだろう。個人タクシーレベルならば、ドライバーもベテラン揃いなので取りまわしは問題ないだろうが、いままでのクラウンはハイヤーやタクシー、そしてパトカーなどはたらくクルマとしても大活躍していたモデルなので、全長が5mを超えるということは、「日本市場そのものだけでなく、日本国内でのはたらくクルマとしての需要も意識しないで開発したのかなぁ」などとも考えている(物理的な問題はさておき、気持ちとしての問題もあると考える)。

 可能ならば、今度出てくる新型クラウンセダンベースで全長が5m未満となる営業車やパトカー専用モデルとしてビジネス・クラウンをロングスパン(クラウンコンフォートみたいに20数年ぐらいラインアップを続ける前提)で販売することを前提に開発してもいいかもしれない。

 かつて、初代トヨペット・クラウンのころは、パトカー版はトヨタ・パトロールという車名であった。これは、単純に初代クラウンのパトカー仕様というわけではなく、エンジンルームを延長し、3.4リッター直6OHVというトヨタBJ型ジープと呼ばれた事実上の初代ランドクルーザーなどにも搭載されたエンジンを載せるなど、見ためは初代クラウンのようだが専用設計モデルであった。

 現行トヨタ・カローラセダンも海外仕様に比べ全長及びホイールベースを縮め、全幅を狭めたナローボディとなっているので、業務用に特化した(一般売りも可能)スケールダウンした「ビジネス・クラウンが出てくれないかなぁ」と、現実的かどうかは別としても密かに思っている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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