日本のような高齢者標識は海外には存在していない
事故件数のみならず、自動車免許取得者の高齢化が1990年代後半頃から顕著になってきたからだともいえる。戦後から1960年代前半頃までの日本では、庶民にとってクルマは高級品であったが、それが1960年代半ば以降の高度経済成長期になると、クルマが庶民の足、または庶民の憧れの対象となり、免許人口も一気に増えていった。
そうした世代が、1990年代後半時点で60代になってきたのだ。
当初、高齢者運転標識は75歳以上での努力義務としていた。その後、何度かの法改正を経て70歳以上での努力義務となっている。
つまり、義務化されている初心者交通標識とは、意味合いが少し違う。
また、当初は「枯れ葉マーク」とも揶揄されるデザインだったが、現在では四葉のクローバーを意識したような4色のマークが採用されている。
高齢ドライバーに関しては2010年代以降、免許更新に関するさまざまな法改正が行われてきているところだ。日本は世界でも稀な高齢化率(全人口に占める65歳以上の人口比率)が高い国であり、免許所有者の年齢の高齢化が今後、さらに進むことは明らかだ。
そうした、高齢者社会の先進国とも言える日本が採用している高齢者運転標識という考え方が今後、世界の国や地域に広まる可能性は十分にあるのではないだろうか。