戦闘機さながらのスーパーSUVのスタータースイッチ
3台目は、日産のEVのフラッグシップとして登場したアリア。66kWhのバッテリーを搭載するB6、91kWhを搭載するB9がラインアップしており、未来的なデザインをまとったSUVとして注目を集めました。
そのデザインのコンセプトが、タイムレス・ジャパニーズ・フューチャーリズムというものなのですが、インテリアでそれをもっとも特徴的に表現していると感じるのが、ハプティックスイッチです。初めてドアを開け、運転席に座ると「あれ? スイッチがない?」と驚く人も多いと思います。インパネには1枚のウッドパネルが配置されているだけで、電源スイッチのほかになにも無いのです。でもその電源スイッチを押してみると、サッとウッドパネルに7つのアイコンが浮かび上がってくるという仕掛け。
「ハプティック」とは触覚という意味で、振動などの触覚を通じて操作することができるスイッチなのです。浮かび上がったアイコンを指でそっと撫でて操作するという、今までとは違う感覚は新鮮。EVという新しいモビリティにふさわしい演出ではないでしょうか。
4台目は、ドアを開けたらルーブル美術館に瞬間移動してしまったかのような、とってもアートなスイッチが斬新な、DS7 CROSSBACK。DSの近年のモデルはパリを象徴する記念碑的建造物の名が与えられた3つのインテリアバリエーションが用意されています。
絢爛たる建築美を誇るオペラ座の「OPERA」にはじまり、ハイファッションの発信地リヴォリ通りをイメージした「RIVOLI」、フランス革命発端の地であるバスティーユ広場の「BASTILLE」。たとえばOPERAのインテリアでは、スタートボタンを押すとインパネの一等地に現れるのは、B.R.Mクロノグラフ社とコラボした美しいアナログ時計でした。そして、センターコンソールのシフトレバーを挟むように両側に並んでいるのは、高級時計の文字盤加工に用いられる「クル・ド・パリ」をモチーフとした美しいスイッチ。
ネイルが長めだと少々押しにくいのですが、シートのみならずダッシュボードやドアトリムにまで贅沢にナッパレザーが使われて、ダイヤモンドのような刻印が入っていたり、小さな真珠が並ぶような繊細なステッチが施されていたり、目にしただけで心はパリへと飛んでいきそうになる、優美な空間となっています。
5台目は、SUVでもスーパーカーと呼ぶにふさわしいパフォーマンスと迫力を誇る、ランボルギーニ・ウルスです。全体の3分の2がボディ、3分の1が窓という、ランボルギーニの基本となるスーパースポーツカーの比率を踏襲しているデザインに、まるで飛行機のプレミアムシートのように、4座が独立したシート。ブォォォンと野太い雄叫びをあげる4リッターV8ツインターボエンジンを搭載する、まさにスーパーカーです。
そんなウルスはインテリアも特徴的で、とくに心躍るのはスイッチ類。エンジンをスタートさせるボタンは真っ赤なカバーで覆われており、まずそのカバーを上にあげてから、うやうやしくスイッチを押すと、あの雄叫びが響き渡るという演出です。そしてイタリア語で表記された走行モードのスイッチも存在感があって、「TERRA(オフロード)」「NEVE(雪)」「SABBIA(砂漠)」なんて、眺めているとちゃんとした発音が知りたくなってきますね。
こんな風に、スイッチひとつで異国の文化に触れられるというのも、すごく刺激的で楽しいウルスの魅力のひとつです。
ということで、コネクテッド機能が進化してきて声でなんでも操作できる時代になりつつありますが、指先で触れて、なにかを動かすというその動作は、やっぱりワクワクしたり、満足感が得られたりするものなのかもしれないですね。