シートベルトをした状態で正しい乗車姿勢を心がけよう
事故形態によって、どの座席が安全かなどと順位は簡単に付けられないと思う。
安全確保は、シートベルト装着がなにより第一だ。もしシートベルトをしていなければ、どの座席に座っていても命の保証はないといえるだろう。なおかつ窓を破って外へ飛び出せば、他車との接触など二次被害も想定される。
次に、ヘッドレストを適切な位置に調節することも大切だ。
エアバッグの装備は、前席のほうが充実している。運転席/助手席エアバッグ、サイドエアバッグ、ニーエアバッグ、カーテンエアバッグなど、前席は体の周囲にエアバッグが装備される車種が多い。
それに対し後席は、カーテンエアバッグの採用が広がっているが、それ以外はあまり採用例がない。一部に、前席の背もたれ裏側から後席へ向けエアバッグが展開し、後席乗員の頭部を支える例はある。しかし、前席のようにダッシュボードのない後席は、よほど前席に近く座っていなければ、シートベルトをすることで頭部への衝撃は限られるのではないか。そのうえで、シートベルトやエアバッグが装備されていても、着座姿勢が適切でなければ効果も限定的になるだろう。
一般に、座席の背もたれを寝かせてゆったり座るのがラクだとの印象が強いと思う。しかし、それでは万一の際に体がシートベルトをすり抜けてしまったり、エアバッグに適切に頭部が支えられなかったりという危険性がある。背もたれは、寝かせ過ぎず、腰にしっかり体重が載り、それによって腿がきちんと座席で支えられる角度が、じつはもっとも快適で、安全上もシートベルトやエアバッグの効果を十分に発揮させる座り方になる。
ドイツのレカロは、「立つように座る」という概念を基に座席づくりをしている。人間の骨格は立っているときが一番負担の少ない配列となっている。その姿勢で座ることが、疲れにくく、かつクルマに装備された安全機能を最大に活用することにつながる。日本でいえば、正座したときの背骨の伸びた姿勢がもっとも疲れにくい。ただし、慣れないと足が痺れるという短所はある。
座席の背もたれを大きく寝かせた座り方は、どの席に座っていても、万一の際は危険性を高めることにつながる。