ランボルギーニには4ドアサルーンを登場させる計画もあった
時代は若干さかのぼるが、ランボルギーニがミッドシップのスーパーカー以外のプロダクトを考えていたことが初めて公になったのは、2008年のパリサロンでのことだった。ここに出品されたエストーケは、全長が5105mmにも達するビッグサイズの4ドアサルーン。ホイールベースは3100mmとこちらも余裕のあるサイズで、実際にその後席まわりのスペースはとても開放的な印象を抱くものだった。
フロントにミッドシップされるエンジンは、ガヤルドから移植された5.2リッターのV型10気筒自然吸気。これにeギヤと呼ばれる6速のセミATを組み合わせ、4輪駆動のシステムを搭載したのがパワートレインの構成だった。
ランボルギーニはこのエストーケを発表した段階で、将来的にはV型8気筒エンジンの搭載、そしてハイブリッド仕様の追加もコメントしていたから、それがプロダクションモデルとして近く発表される可能性も高いと予想されていた。
しかし、ランボルギーニはこのエストーケと、将来ウルスとなるべきSUVの重要性を比較。当時、4モデルを生産する余裕はまだなかった彼らは、エストーケのプロダクション化を断念しなければならなかったのだ。
一方の電動化に対する取り組みとしては、2014年のやはりパリサロンで、アステリオンLP910-4というコンセプトカーが発表されたのが記憶として残る。PHEVのシステムを持つこのモデルは、フロントに5.2リッターのV型10気筒ガソリンエンジンを610馬力の最高出力で搭載し、トランスアクスル方式でリヤにレイアウトされた7速DCTを介して後輪を駆動する。
エレクトリックモーターは3基を搭載。ひとつは7速DCTとともに後輪を駆動し、残りの2基は前輪を駆動。エレクトリックモーターの最高出力はトータルで300馬力とされており、システム全体では910馬力のパワースペックを誇っていた。
このアステリオンLP910-4はもちろん前輪駆動でのゼロエミッション走行が可能で、その航続距離は50km。最高速は125km/hと発表されていた。一方、ハイブリッドモードでは0-100km/h加速を3秒フラット、そして最高速度の320km/hに象徴される高性能GTとしての素晴らしいデータがスペック表には並ぶ。
そしてこの技術は、ここからさらに10年以上の時を経て、最新のV型12気筒ミッドシップ、レヴエルトの基礎を築いていったのだ。
そうなると気になるのは、レヴエルト、ウラカン、ウルスに続く、第4のモデルの存在。それが誕生するとなれば、個人的にはエストーケのコンセプトを受け継いだ、個性的で美しく、そしてもちろん世界の第一線にある運動性能を持つ4ドアサルーンを期待したいところなのだが。