この記事をまとめると
■秋田県のバス事業者によるカスタマーハラスメントの意見広告が話題に
■バスやタクシーの乗務員へのカスハラはあとを絶たない
■この問題の根底には職業差別があると考えられる
カスハラについての意見広告が話題に
4月上旬ネットニュースにて、秋田県の某バス事業者のカスタマーハラスメント(略してカスハラ/利用者からの過度なクレーム)についての意見広告が話題となった。「お客様は神様ではありません」という強烈なキャッチが大きくついていたとのこと。
路線バスだけでなくタクシーも含めて、カスハラといった表現などがなかったころから、過度なクレームだけでなく、乗務員への暴行事件などもあった。30年以上前に某テレビ局の有名アナウンサーがタクシー乗務員へ暴行する事件を起こしたのは有名な話。20年ほど前には、テレビ番組である女性芸能人が「ムシャクシャしていたから、たまたま乗り合わせたタクシー乗務員にあたりちらした」と公共電波で語っていて驚かされたことはいまも記憶に残っている。一般市民だけでなく、有名芸能人やいわゆる上級国民と呼ばれる、社会的に地位が高いと言われている人たちの間でも、ある意味平気で乗務員へ暴言を吐いたり、暴行を行うのが日本の社会なのである。
筆者が子どものころは、筆者の自宅周辺のタクシー乗務員は武闘派といっていいほど怖く、とても乗客が暴言を吐いたり、暴行を加えることなどはできる状況ではなかった。バブル経済と呼ばれたころも、道端で1万円札をふりかざさないとタクシーが停まってくれないほど、ある意味、乗務員のほうが上ともいえる状況となっていた。
当時、都心から40km以上離れた自宅までタクシーで帰っても現金払いを知ると「チケットじゃねーのか」と舌打ち(当時は金額を入れない白紙チケットをもらい、好きな金額を入れていた)されたりした。バブル経済が崩壊し利用者が減り、タクシー事業者もサービス向上を意識するなか、タクシー乗務員のキャラクターが変わってきたことで立場が逆転したのかもしれない。また年々武闘派乗務員が引退していくなか、前職がサラリーマンといった人が乗務員になるケースが多くなってきたことも、乗務員のキャラクター変化をもたらしたともいえよう。