数値で見るともっとも悪路に強いのはディフェンダー90
もうひとつ、クロカン4WDのメカニズム面での特徴といえるのが、最低地上高が大きく、路面とのクリアランスが確保されていることでしょう。そもそもSUVスタイルの基本が大径タイヤであるのは最低地上高を稼ぐためといえますが、クロスオーバーSUVよりもクロカン4WDのほうが、より大きなタイヤを履いています。
たとえば、スズキの軽自動車でいえばSUVスタイルのハスラーが履いているタイヤは165/60R15サイズとなっていますが、ジムニーは175/80R16と圧倒的に大きくなっています。
では、ピックアップした本格派クロカン4WDモデルの最低地上高とタイヤサイズを並べて比較すると、どうなっているのでしょうか。
・ジムニー:205mm・175/80R16
・ランドクルーザー:225mm・265/65R18
・ディフェンダー90:216~290mm・255/70R18 ※エアサスペンション
・Gクラス:271mm・275/50R20 ※海外仕様
・ラングラー:200mm・255/75R17
こうやって数値で見ると、もっとも悪路走破性に強いのはディフェンダー90といえます。ディフェンダー・シリーズのなかでボディが短いメリットは狭い場所での扱いやすさにも効いてくるでしょう。しかしアマチュアドライバーにとって悪路走破性を実感できるのは、意外にも最低地上高の余裕がもっとも少ないラングラーではないでしょうか。
ラングラーのルビコンというハードコアなグレードには、マッドテレインという滑りやすい状況に強いタイヤが標準装備されています。最近のSUVは電子制御によってトラクションを向上させる機能も満載ですが、物理的にいってタイヤグリップ力を超えた駆動力は生み出せません。
どのモデルにおいても悪路に最適化したタイヤを履かせれば同様の走破性は実現できますが、ひとまずノーマル状態で比較するのであれば、数値には現れないタイヤ性能の違いという部分にも注目すべきです。
悪路というのは道幅が狭いことも多く、そうしたシチュエーションではとにかくボディがコンパクトなことが有利。ですから「オフロードではジムニー最強!」という意見も多く見かけますし、それは事実でしょう。
ただし、本当に危険な状況となればボディをボコボコにしてでも安全な場所まで移動することが必要です。そうなったときの信頼感という意味では過去の実績が示すようにランドクルーザーやGクラスも無視できないクロカン4WDといえそうです。