今のクルマに無い雰囲気は若者にも大人気!?
冒険とレトロをミックスしたコンパクトハッチ
2台目も日産ブースからで、何とオーナーが20代だというパオ(1989年式)をピックアップ。先のシーマと異なり、展示車は適度に使い込まれたところが肝で、ダッシュボードにはクルマのミニチュアが置かれるなど、オーナーの「日常」が垣間見えます。
初代マーチをベースにしたパイクカーシリーズの第2弾として、コンセプト作りを担当した坂井直樹氏が提案したのは冒険気分とレトロの融合。基本はルノー4を思わせる柔らかな曲面のハッチバックですが、ドアパネルのビード、外ヒンジのドア、上下2分割のリヤクオーターウインドウ、大型のメッシュグリルなどによりアドベンチャー感覚満載に。
さらに、最近流行のアースカラーを先取りした彩度の低いブルーやアイボリーで、程良いレトロ感と独特の「ユルさ」を表現。ポップなBe-1やデコラティブなフィガロに比べると若干大人しく見えるパオですが、その肩の力が抜けた佇まいがZ世代にマッチしたのかもしれません。
アメリカンになった高級2ドアスペシャリティ
3台目はちょっと古いですが、マツダのブースから1975年式のコスモAPを取り上げます。同社初のロータリーエンジン搭載車となったコスモスポーツの名前を引き継ぐ高級スペシャリティカーです。
北米市場を意識したスタイルはコスモスポーツから一転、押し出し感のあるロングノーズプロポーション。とりわけ縦型の大型グリルによるフロントフェイスの重厚感が目立ちます。このスタイリングは、現デザイン担当役員である前田育男氏の実父である前田又三郎氏によるもの。
サイド面の目玉は三角形のガラスをはめ込んだセンターピラーで、これにより段差ができたベルトラインも個性的です。一方、リヤではガーニッシュでつながったL字型ランプの派手さがじつにアメリカン。さらに「赤いコスモ」として評判になった真っ赤なボディは、のちのマツダ車に受け継がれることになります。
さて、今回はまったく異なるタイプの3台を取り上げましたが、80年代を中心としたネオ・クラシックカーの個性の豊かさにはいまさらながら驚かされます。こうして、各年代のデザインを楽しめるのがこのイベントの特徴と言えるでしょう。