モデル末期のフリードがまさかの値上げ! 年末とも言われていたフルモデルチェンジが白紙に戻されたワケ (2/2ページ)

いま納期でクルマを選ぶ人も少なくない

 新型を出しても納期遅延どころか、新規受注停止になってしまっては元も子もない。しかもフリードはトヨタ・シエンタと激しい販売競争を展開しているからなおさらである。自販連(日本自動車販売協会連合会)の統計によると、2022事業年度(2022年4月から2023年3月)締めでの車名(通称名)別年間新車販売ランキングをみると、シエンタが9万2766台、フリードが7万9820台でシエンタがフリードに勝っている。

 人気車の多いトヨタでは深刻な納期遅延車が相次いでいるが、現行シエンタは2022年にデビューしたばかりのトヨタの人気車で、しかも登場間もない新型車としては、異例ともいえる短納期になっている。本稿執筆時点で調べてみると、ガソリン・ハイブリッドともにETC2.0をメーカーオプションとして選択しなければ、今年10月以降、ETC2.0を選択すると今年11月以降が納車予定となっている。つまり、半年強待てば納車になるのである。納期についてまだ平時に戻りきっていない現状下で半年ほどの納車待ちは許容範囲ともいえる。

 一方のフリードも1~2カ月程度で納車できる車種もあるとしながらも、オーダー車となれば半年以上の納車待ちとなっているので、納期としてはこの2車はほぼイーブンといえる状況にある。納期で差がつかないのならば、購入条件(つまり値引きなど)で勝負しなければならない。そこでもフリードが新型になってしまうのは不利といえよう。

 フリードが新型になってしまうと、オーダーの入り具合次第では売れ筋モデルが新規受注停止にもなりかねないリスクが発生してしまうので、シエンタに販売台数で大きく差をつけられてしまうこともありえる。白紙の情報をベースに考えれば、フルモデルチェンジを見送らざるをえなかったのかもしれない。

 この両車では、もちろん好き嫌いや性能比較をして選ぶ人もいるだろうが、多くは「希望予算をクリアするか」と、いまどきは「どっちが納車は早いか」ということを重要視する傾向が強い。日常生活の移動手段として割り切って使う人が多いのである。

 また、情報ではN-BOXは大きなスケジュール変更なくモデルチェンジを行うようなので、部品供給体制も戻りきっていない現状下では、「どちらを優先させるか」という判断もあったとも考えられる。

 車両価格の値上げという新たな要素も加わり、まだまだ新車販売の世界は混沌とした状況が続きそうだ。


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