この記事をまとめると
■ランボルギーニのV12フラッグシップモデルが「レヴエルト」へとフルモデルチェンジをした
■6.5リッターV12に3基のモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドを採用
■このプラグインハイブリッドモデルをHPEV=ハイパフォーマンス・エレクトリファイド・ヴィークルと呼ぶ
ランボルギーニのフラッグシップはV12+モーター
ランボルギーニは伝統のV型12気筒エンジンに、さらなる未来を与える決断を下した。今年で創立60周年を迎えるランボルギーニにとって、もっとも重要なイベント、それはこれまでのアヴェンタドールに代わるフラッグシップモデルを生み出すことにあったわけだが、スーパースポーツの世界においても電動化がテクニカルトレンドとなるいま、はたしてランボルギーニがそのニューモデルにV型12気筒エンジンを搭載するのかどうかは、カスタマー、そしてファンとしてはもっとも注目に値するところだった。
これまで「LB744」の開発コードで呼ばれていた、そのニューモデルの車名は「レヴエルト」。ランボルギーニ車の多くがそうであるように、それは闘牛史に名を残す屈強なファイティングブルの名である。同時にスペイン語では「かきまわす」といった意味を持つというから、レヴエルトが実際に闘牛場でいかに激しい闘いを見せたのかは、想像に難くない。同時にそれは、新たなランボルギーニのフラッグシップモデルには、まさにベストな車名ではないか。
今回筆者は、そのワールドプレミアの1カ月ほど前に、サンタアガタ・ボロネーゼの本社内にあるチェントロ・スティーレ(デザインセンター)で限られたメディアを集めて開催されたスニーク・プレビューに参加した。
そこで行われた技術解説で、ある程度予想はしていたものの、現実を突きつけられて身が引き締まる思いがしたのは、それがPHEVのシステムを搭載してのデビューとなったこと。
ときをさかのぼること半世紀以上前に、かのパオロ・スタンツァーニが考案した、V型12気筒エンジンと5速MTを直列に接続したユニットを車体の後方から、つまりミッションを先頭にエンジンルームからキャビンにまで進入させることでミッドシップを成立させるという手法は、ディアブロ、ムルシエラゴ、そしてアヴェンタドールと継承されたものの、このレヴエルトでは完全に見直され、8速DCTはV型12気筒エンジンの後方に横置き搭載。
これまでミッションにスペースを取られていたセンタートンネル内には、長さ1550mm、幅240mm、高さ301mmというサイズのリチウムイオンバッテリーが、3.8kWhの容量で搭載されることになった。このバッテリーは家庭用の一般的な交流電源からでも30分で満充電が可能なほか、重心低下などドライビングダイナミクスにも大いに貢献している。
V型12気筒エンジンの排気量は6.5リッターで、L545型と呼ばれる新設計のものだ。825馬力の最高出力と725Nmの最大トルクを発揮し、さらにフロントアクスルの左右に1基ずつ、8速DCTに組み合わされる形で1基の合計3基のエレクトリックモーターが、このエンジンをサポートする。
それぞれの最高出力は148馬力。フロントのモーターはEV走行時の駆動力を担うほか、左右の回転数差を利用することでトルクベクタリングも可能にする。