速度違反車を結構ぶっ飛ばして追いかけるパトカー! 性能はどのぐらい? チューニングはされているのか? (2/2ページ)

予算がカツカツなのでカスタムしている場合ではない!?

 交通取締用四輪車の基準が150kW(204馬力)以上なのに対し、220系クラウンの直4ターボが180kW(245馬力)ならスペック的には十分で、わざわざチューニングする余地はない。

 また納入価格を見ても、2021年3月に行われた警察庁の入札価格の合計は約9億6548万円。これは234台の220系クラウンパトカー(2WD)の価格なので、1台分約413万円。

 ベースになった2リッター直4ターボの「RS」の新車価格が、510万円だったと考えると、パトカー仕様は内装などを簡素化していたとしてもかなり割安で、エンジンチューンに予算をまわせる余裕があるとは思えない。

 また、パトカーは日々過酷に使われるので、マイナートラブルやリコールにはかなり敏感。歴代クラウンも初期トラブルを警戒し、マイナーチェンジ後のモデルから納入開始することが多かったほどなので、トラブルリスクを背負ってまで動力性能を向上させるようなオーダーをするとは考えられない。

 ちなみに神奈川県警の無線警ら車の仕様書には、

「車両は、納入後において、修理等を円滑に行えること」
「車両を納入した日より36か月以内又は走行距離60,000km以内で、車両を構成する純
正部品について、材料又は技術上の欠陥が現れた場合は、無償で他の良品と交換若し
くは修理すること」

 という一文が入っている。

 さらに余談だが、パトカーには赤色回転灯がついているので、空力性能はかなり悪い。

 空気抵抗は速度の二乗に比例するので、例えばドアミラーのサイズでも、空気抵抗による馬力損失は、100km/hでおよそ1馬力、180km/hでおよそ5~6馬力といわれる。

 パトカーのあの大きな赤色回転灯だと、馬力損失も馬鹿にならないというわけだ。

 また、パトカーは通常2人乗車で、なおかつトランクには常時60kgの装備が搭載されているのが前提。重量的にはかなりマイナスになるので、パトカーの運動性能は、ベースのクラウンよりもかなり見劣りするのが現実だろう。

 速度違反のクルマを追いかけるときも、法定速度を遙かに上まわるような車両は、単独で追尾することはないとされているので、速度リミッターすら解除されていないと考えるのが妥当だろう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

愛車
日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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