アメリカでも女性販売職は少ないように見える
たとえ本人が納得して単独で訪問販売活動を行ったとしても、当時の世相では「若い女性ひとりを夜間に他人の家に行かせるなんて」と、その会社に対して悪いイメージをもたれることも多く、それを嫌っての店頭対応への特化という判断もあったといわれている。つまり、その仕事を進める環境があらゆる面でなかなか女性には厳しいものがあって新車販売は男の仕事ともいわれていたのである。
いまは、まだ女性の活躍が少ないようにも見えるが、すでに店頭で受注まで済ませてしまう完全店頭販売がメインとなっていることもあり、バンバン新車を売る女性販売職も珍しくなくなってきている。いまでは週休2日どころか、週休3日も当たり前になろうとし、確実に休めるようになっている。残業も厳しく管理されほぼ毎日営業時間内で業務が終了するので、女性にとってはますます働きやすい環境になってきているといえよう。
販売実績が人事考課の中心(数字至上主義/新車を何台売っているのか)となるので、そもそも男女での格差が生まれにくい職業ともいわれているのだが、「『女性が……』という差別的なものがあり売りにくいということはいまではまずないでしょう。ただ、男女での夫婦も含むカップルなどで来店し女性販売職と商談するようなシーンでは、女性客から『旦那(または彼氏)に色目を使っている』などと見られ商談がまとまりにくいといったこともあると聞いております(逆に女性同士意気投合しまとまることもあるようだ)。そのため髪型や化粧を気にしてできるだけ中性的に見せることを心がける傾向もあると聞いております」とは事情通。
男女平等先進国ともいえるアメリカの新車ディーラーでさえ、筆者が見ている限りでは女性販売職の姿は少ないように見える。新車販売の現場をより女性が働きやすい職場にすることは、そのたどってきた歴史も含め、なかなか簡単には進まないのが現実のようである。その前に技術の進歩により、“対話型AI”が人間に代わって新車を販売していく世の中になってしまいそうでもある。