法的には禁止されていないけど……社有車や営業車を「私的利用」するリスクとは (2/2ページ)

罰則はなくてもリスクがあることは肝に銘じよう

 日本ではあまり馴染みのない概念ですが、ドイツ企業では「カンパニーカー」という制度が用意されていることは珍しくありません。主にマネージメント職に対して、福利厚生の一環として乗用車を貸与するというもので、通勤に使うのはもちろんですが、カンパニーカー制度において与えられたクルマについては私的に使うのも問題ありません。

 日本では、ドイツのカンパニーカー制度ほど私的な利用を全面的に認めていることは少ないようですが、ゼロというわけではありません。また、会社によっては営業車を個人が休日に利用することを黙認しているケースもあるようです。

 ただし、会社が黙認しているときに気をつけたいのは任意保険などの状況です。通勤であれば多少の寄り道であっても業務中と認められ、事故を起こした際に保険で対応できることもあるでしょうが、休日に営業車を私的に使用しているときには保険の適用でもめる可能性があるからです。

 もし休日に営業車に乗るようなことがあるならば、保険などの条件がどうなっているのか、確認しておくことが必要でしょう。こうした問題を表立って話題にすることで、黙認されていた私的利用が禁止されるかもしれませんが、実質的に任意保険に入っていない状態のクルマを運転しているリスクに比べれば、ずっと小さい問題です。

 なお、会社によっては就業規則で営業車などの私的利用を禁じているケースもあります。とくに営業車の側面などに企業名やブランド名を掲げている場合には、私的な使用は企業イメージを下げてしまうこともあるので、当然といえるでしょう。

 そうした規則があることを理解したうえで、それでも営業車を私的に使っていることは、ある種の犯罪状態にあるといえます。仮に燃料代を負担したとしても、走行することによるクルマの傷みは進みます。社有車のメンテナンスコストを会社が負担していることを考えると、会社が訴えれば業務上横領となり得るからです。

 まとめると、社有車や営業車の私的利用が絶対的に禁止とはいえません。

 会社が社員の私的利用を認めているのであれば、休日のドライブに使うことは問題ありません。一方、会社が私的利用を大っぴらに認めていないケースでは、業務外の使用で事故を起こした際に大きな問題になる可能性があるでしょう。私的利用を禁じた就業規則があるのであれば、プライベートで営業車を使うのはNGです。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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