この記事をまとめると
■007の映画『私を愛したスパイ』には潜水艦に変形するロータス・エスプリが登場した
■その劇中車はかつて潜水艦としてオークションに出品されたことがある
■落札したのはテスラCEOのイーロン・マスクでその金額はなんと約1億円
映画『私を愛したスパイ』での活躍は忘れられない
ジェームズ・ボンドが映画のなかで乗った「ボンドカー」といえば、まずはアストンマーティンを思い出すかと。一方で、潜水艦に変身するという掟やぶりなロータス・エスプリこそボンドカーのトップだとする声もまた大きいのではないでしょうか。
1977年に公開された「私を愛したスパイ」で登場したエスプリは、劇中で海に潜るはミサイルは発射するはの大活躍。ギミックの大胆さでは歴代ナンバーワンといっても過言ではないでしょう。この映画で使用されたエスプリは、かつてオークションに出品されたことがありますが、注目すべきはクルマとしてではなく、潜水艦として出品されたことにほかなりません。
当時、映画撮影にむけてロータス側が用意したのは走行シーン向けに2台、潜水艦に変身する際にタイヤが格納されるだの、ミサイルを発射するだののクローズアップ向けにはドンガラのボディが6~7台あったそうです。このうち2台が潜水艦スタイルに大改造され、撮影では海軍を除隊したプロの潜水士が内部で操縦。のちに「Wet Nellie」とニックネームが付けられた潜水型エスプリは、ケン・アダムズというその道では伝説的な裏方が製作したとはいえ、水中での安全性までは考慮されていなかったのでしょう。
また、バハマの海で撮影された際、ルイス・ギルバート監督は潜水艦のエスプリにリアリティを求め、水中に排出される泡を増量させたとのこと。これには、アルカセルツァという水に溶かすと泡の出る頭痛薬を大量に用いたそうです。
こうした映画やテレビで使用されたクルマたちは、意外なことに寂しい末路を送りがちなこと、あまり知られていないようです。ボンドでいえば、かのDB5も倉庫に放置された挙句に紛失、あるいはマックイーンのブリットで大活躍したマスタングもスタジオのスタッフに安値で売却など、いまとなっては信じがたい暴挙(笑)。