繋ぐだけで故障がわかる! 今やクルマのメンテに欠かせない「OBD」って何? (2/2ページ)

今では欠かせない車両整備時の重要機能に

 さて、このOBDシステムだが、現在は第2世代のOBD2の時代となっている。歴史を振り返ると思いのほか古く、機能診断という意味では、1980年にGMが生産ラインで品質管理に開発したALDL(Assembly line Diagnostic Link)が原点となっている。文字どおり生産ラインでの機能診断リンク機構で、車載ECUのデータを外部コンピューターで読み取り、各部の動作状況を確認できるシステムとして、その後発展している。
ただ、初期の電子制御システムは、各メーカー独自のシステムとして作られていたため、外部コンピューターとの接続コネクター方式や故障コードの表示方法などに互換性、共通性がなく、自動車全体の診断システムとしては汎用性に欠けていた。

 ECUから故障状態を読み取るシステムとして、OBDが非常に有効であることは認識されていたため、一般市場での利便性、ユーティリティの向上を図る方式として、接続コネクターや故障コードを共通化して汎用性を一気に高める改善が行われた。このOBDの新旧を区別するため、初期タイプのものをOBD1、改善型のものをOBD2と名付けている。

 通信に必要な規格は5種類が設定され、SAE J1850(振幅変調)、SAE J1850(可変振幅変調)、ISO 9141-2、ISO 14230、ISO 15765(CAN)となっている。ちなみに、OBD2規格のコネクターは、16の端子を持つもので規格されているが、実際にOBDシステムの信号のやりとりに使う信号端子は9つで、残りの空き端子は、各社が独自に自社車両の情報読み取り用として使っている。

 なお、OBD2の故障コードはDTC(Diagnostic Trouble Code)と呼ばれ、アルファベット1文字と4桁の数字による組み合わせとすることで、細かく故障状況が読み取れるようになっている。ちなみに、アルファベットによる故障コード表示は4種類で、Pコード(パワートレイン系)、Cコード(シャシー系)、Bコード(ボディ系)、Uコード(CANに関する故障表示)となっている。

 電子、電気は目に見えず、それぞれの機能を理解するのは難しいが、機械制御だけではとうてい為し得なかった繊細緻密な制御を可能とし、その結果、クリーンで高性能な性能を実現したのみならず、その機能診断を即座に行ってしまうOBDの活用と、現代の自動車はトラブルシューティングすら瞬時に、そして確実に行える環境となっている。


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