汎用のフロアマットが敷いてあったケースも
過去には、何セットが綴りになっている一冊をそのままセールスマンが管理していたが、やはり歴代セールスマンがいろいろやんちゃを行ったこともあり、いまは必要に応じて1セットずつ渡されるディーラーもあると聞く。「大昔から書き損じたり、汚損した場合はシリアルナンバーをつけて管理しているので、返却しなければならなかったのですが、それでもこそこそと良からぬことをやっていたそうです」(事情通)。
車両注文については正式な注文書であっても、ディーラーオプションについて「別扱いで現金で払ってほしい」というのも要注意。いまは禁じているディーラーも多いが、セールスマンが自分の名前にて社員割引きで購入して、その差額を着服していることがある。仮にディーラーオプションのカーナビを社員割引きで購入し、セールスマンが店舗のメカニックにお小遣い程度を渡して装着すると、取り付けに関する不具合があっても取り付け保証の対象外となると聞いたことがある。それより最悪なのは、純正ではない汎用のフロアマットを一般量販店で安く買ってきて敷いてあったというケースも過去にはあったようだ。
下取り車については、会社を通さず買い取り専業店などに転売し、買い取り専業店から受け取った金額から中抜きしてお客に現金を渡すといったこともあるようだ。ある買い取り専業店に税務調査が入った時に、財務記録にメーカー系正規ディーラーとの取り引き記録があったのだが、当該ディーラーに確認すると会社間取り引きがないことが判明。セールスマンが下取り車を個人的に勝手に転売していた事実が判明して大騒ぎになったこともあったそうだ。頻繁に転売を行っていたあるベテランセールスマンの自宅はまさに豪邸で、ドイツ製高級車をプライベートで乗り回していたとの話もある。
「昔はとにかく業界自体もやんちゃそのもので、とにかく台数を売ればOKという感じでした。そのためセールスマンもある意味自由に新車を売っていました。いまはコンプライアンスも厳しくなり、おとなしいセールスマンがほとんどとなっています。ただ、そのなかで車両代金を横領してしまうということは、よほど背に腹は代えられない深刻な事情を抱えた結果なので、事態をより深刻なものにしてしまうようです」とは事情通。
すでに残価設定ローンを利用しての新車販売が全体の半数以上になっているとの話も聞く。さらには中長期的に見れば本格的なオンライン販売も普及していくだろうから、さらに新車販売現場のキャッシュレス化は進んでいくだろう。そのため少し前には、仕入れるタイヤの数を水増しして、水増し分を転売して現金化したといった報道もあったと覚えている。
とにかく商談を進めていくなかで、少しでも違和感を覚えたら少し身構えて様子を見たほうがいいだろう。