補助金も軽EVの売り上げを後押し
一方、一戸建ての住宅に住む世帯は、充電設備を設置しやすいが、複数の車両を所有することが多い。その内の1台は、遠方まで出かける時にも使える普通車で、そのほかの車両は、維持費が安く買い物などに利用しやすい軽自動車になることが多い。
この所有形態では、3ナンバーサイズの電気自動車は購入しにくい。3ナンバーサイズの普通車は、遠方まで出かける時にも使うファーストカーになるからだ。1回の充電で走行可能な距離が短い電気自動車は、ファーストカーには選ばれにくい。
そして3ナンバーサイズの電気自動車は、セカンドカーとして街中の移動に使うには、ボディが大きくて価格も高い。つまり日本では中途半端だから、売れ行きも伸び悩んだ。
しかし軽自動車サイズの電気自動車なら話が変わる。ボディが小さいからセカンドカーとして買い物などに使いやすく、遠方まで出かける時はファーストカーを利用するから、航続可能距離が短くても不都合は生じない。日本で電気自動車を成立させるには、軽自動車がベストだから、売れ行きも伸びた。
また補助金の交付額も影響を与えた。直近の2023年4月1日以降の経済産業省による交付額を見ると、サクラは55万円、アリアは85万円だ。車両価格はサクラXが254万8700円だから、55万円の補助金交付額は、車両価格の22%に相当する。254万8700円の価格が、補助金を差し引いて199万8700円になると、買い得度が強まる。
一方、アリアで現在販売されているB6は539万円だから、85万円の補助金額は車両価格の16%に留まる。539万円から補助金交付額の85万円を差し引いて454万円だから、サクラほど買い得な印象は受けない。
このように補助金の違いもあり、以前の普通車サイズの電気自動車は売れ行きを伸ばせず、軽自動車が登場して急増した。