今後もEVに積極的にならざるを得ないだろう
それでもドイツの報道を見ていると、石油暖房の全面禁止など筆者はとても住みたいとは思えないほど、脱炭素社会の実現にまい進しており、その進め方はかなりヒステリックなもののようにも見える。急激な変化がさまざまなひずみを見せる一例が今回のICE車の継続販売なのかもしれない。
雇用対策にまで配慮しながらZEV普及を進めたドイツでも壁にぶちあたってしまっている。日本でも当然難題山積みとなっていくだろう。ここのところ話題となっている子育て政策でも、ひたすら“ばらまき政治”に徹しているように見える。単純に給付金などを上積みすれば出生率が上がるといっているようなものである。
日本もカーボンニュートラル社会の実現を国際公約しており、今後ZEVの普及というものが進んでいくだろう。ただし、おそらく購入補助金の充実程度で「あとは民間でよろしく」となるのがオチのように見える。少なくともドイツのような雇用対策などは期待しないほうがいいだろう。EUの思惑が潰れたからと言って、BEVがこの世からなくなることはない。世界的には富裕層についてはトレンドとしてBEVは注目されているし、新興国は大気汚染対策や原油輸入量の削減などを主眼にBEVに注目しているので、日本車はBEVを積極的にラインアップしなくていいということにはならない。新興国では中国の存在感が高く、中国メーカーがBEVの販売を積極化している。しかも、中国メーカーのBEVはその価格帯が日本車の同クラスHEV(ハイブリッド車)並みと言う地域もあり、現状で圧倒的な販売シェアを誇る東南アジア各国ですら、日本車の脅威になりつつあるようにも見える。
すでに一定の需要ができてしまったのだから、それに適切に対応できなければ、日本車のステイタスはいま以上に下がることになるのは必然、そして日本の自動車産業の衰退は日本経済にも大きな悪影響を及ぼすことになるだろう。