シンプルなデザインの流行により「サイドモール」が復活!?
ボディ形状の変化で消えたサイドモール
続く90年代は、サイドモールにとって過渡期と言えます。この時期、バンパーは依然スカート一体型のままですが、全体の質感向上に伴ってモールは消え、ボディカラー1色に。そうなると、サイドモールだけを素材色にするのは違和感があります。
たとえば、91年登場の7代目カローラにはサイドモールが残っていますが、基本的にはボディ色となりました。これは、7代目や8代目の日産サニーなども同じです。
そして2000年代に入ると、完全にボディの一部となったバンパーに加え、製造技術の向上によってボディサイドに派手なキャラクターラインが引かれるなど、モールの置き場自体がなくなりました。美しさを追求するデザイナーにとって、モールはもはや余計な要素になったのです。
デザインの変化で復活の兆しが
こうしてサイドモールが姿を消したのは、デザインの進化による必然だったのかもしれません。ところが、2020年代のいまになってこの流れにも変化が見られ始めました。
たとえばルノーのトゥインゴやシトロエンのベルランゴ、トヨタの新型シエンタなどでサイドモール(プロテクター)が復活しているのです。また、少し構造は違いますが、トヨタのクラウンクロスオーバーにも同様の表現が見られます。
これらもキズ防止というより、明らかにボディのアクセントとして置かれているように見えますが、なぜいま復活なのか? これは、近年多くのメーカーがシンプルなデザインへ回帰していることに理由がありそうです。シンプルな面構成になったことで、アクセントを生かすことができるのです。
これを単に先祖帰りというのは少し違うかもしれません。プロテクターを付けるか否かはともかく、カーデザインとしては決して悪い方向性ではないと思えるのです。