レクサスの名にふさわしい内装を実現
インテリア
レクサスHSのインテリアで特徴的なのが浮いているようなセンタークラスター。この形状を採用した大きな理由はコントロールシステム「リモートタッチ」にありました。
「リモートタッチ」とはマウスのように手だけで各種操作を行うことができる装備。ナビなどの操作について手元を見ることなく画面に視線を集中して操作できる優れた装備です。
このコントロールシステムを効率的に使用することを考慮したのが個性的なインパネの形状だったのです。
逆にシフトレバーは他のレクサス車とは違いかなり小さくなりました。「リモートタッチ」右上に配されたシフトレバーはプリウスでおなじみの電気式シフトレバー。その当時、高級車としては異例とも言えるほどの小さなレバーでしたが、現在はレバーではなくシフトスイッチを装備する高級車も増えてきたことを考えると先見性があったともいえます。
居住性など
全長4700mmでFFレイストを採用したレクサスHSの室内空間は、当時、ひとクラス上のセグメントに属していたGSとほぼ同等の広さを備えていました。
とくに後席の居住性は良く、しかもゆったりとした大きめのシートを備えていたことが特徴です。
もちろんレクサスブランドで販売されるモデルなだけに、ラグジュアリー感満載。上級モデルにはセミアニリン(高級な革に用いられる仕上げ方法)本革シートが配されるなど素材にもこだわっていました。
ハイブリッド専用車となるレクサスHSで気になるのがラゲッジスペース。後席とトランクの間に駆動用バッテリーを搭載したことで同クラスのFFセダンと比べるとやや劣るものの、大きめ(9.5インチ)のゴルフバッグが4つ積めるなど実用性は十分でした。
多彩な先進装備
近年、loT技術の進歩と高速ネットワークの普及にともないコネクティッドカーが注目を集めています。レクサスHSがデビューした当時はいまほどそれらの技術が構築されていませんでしたが、現代のコネクティッドカーに繋がる先進装備が搭載されていました。
とくに注目を集めたのが「ハーモニーアシストドライビングナビゲーター」。エコドライビングゲーターの点灯やエコモードスイッチの選択などを通じ、レクサス車に装備される通信サービス「G-Link」でエコドライブの情報を集計。燃費を重視したHSらしくエコドライブの比率に応じてポイントを獲得できるシステムです。
またレクサス初となる「タッチトレーサーディスプレイ」を採用したのも特徴。ステアリングに備わるスイッチに触れると、操作パターンに触れている場所がヘッドアップディスプレイに表示される、当時としてはかなり先進的なシステムでした。
レクサスHSの中古車相場
執筆時点でレクサスHSの中古車は全国で265台が販売されており、その相場は35〜295万円。レクサスブランドではあるものの100万円以下で購入できるモデルも数多く販売されているのが特徴です。
とはいえ、100万円以下で購入できるのは前期型(2009〜2013年)で、10万km以上走行した車両が多数。ただ、マイナーチェンジでスピンドルグリルを備えた後期型(2013〜2018年)も少数ではありますが100円以下で販売されていました。
新車で販売されていた際、ベースグレードと最上級グレード「version L」とは40万円ほどの価格差がありましたが、中古車ではほとんど差が見られません。販売台数こそ少ないですが安全装備が(とくに前期型は)他のグレードより充実している「version L」が狙い目といえるでしょう。
まとめ
いまや高級車とはいえハイブリッド車しかラインアップしていないモデルは珍しくありませんが、ハイブリッド専売車としてデビューしたレクサスHSはその当時、大きな話題を集めています。
残念ながら国内はもとより北米市場でも受け入れられず、ブランドが消滅してしまいました。
見た目などがレクサス車っぽくなかったことも人気を得られなかった要因かもしれませんが、高級車の新たな道筋を示したモデルだったことは間違いありません。