この記事をままとめると
■登場後にその後のクルマのトレンドを変えるほどの伝説を作った初代モデルを紹介
■かつてのミニバンブームや現在のSUVブームのきっかけのひとつになった初代モデルがあった
■日本の自動車の技術力の高さを世界に用名した初代モデルがあった
ブームの影にはフロンティア的モデルの登場があった
映画「男はつらいよ」をご覧の方ならおわかりでしょうが、フーテンの寅さんが旅先で知り合う見すぼらしくて、貧乏くさい年寄りはすべからく当代一流の画家だったり、お殿様の末裔だったりします。なにが言いたいかというと、ちょい古や型遅れのクルマだったとして、侮ることなかれ! なかには伝説を作った偉大なるクルマもありがち、ということです。そんなレジェンドメイキングなクルマをいくつかご紹介しましょう。
初代ポルシェ・カイエン
いまでこそプレミアムブランドが作る高級&高性能SUVは珍しくもなんともありません。が、それは2002年にポルシェが初代カイエンをリリースし、このジャンルを急速、かつ強固なマーケットに育て上げたからにほかなりません。それまで高級SUVといえばレンジローバー一択で、いまでも流行っているゲレンデヴァーゲンなんかは「変わり種」くらいにしか見られていませんでした。
そんな市場にドロップされたポルシェのエンブレムを付けた4ドア、高い車高、それでいてターボ付きのバカっ速ぶり! ポルシェのオーナーみんなが「どうしちゃったの!?」と目をむいたこと、いまでも思い出します。
あざといな、と思ったのはポルシェの広報写真でカイエンがトレーラーをけん引しているシーンがあり、なんと載せていたのはナナサンカレラRSだったのです。これはポルシェユーザーでなくとも夢がパンパンに膨らんだのではないでしょうか。
初代カイエンは中古市場では底値もいいところで、当時のプレミアム感ははげ落ちてしまったかのようですが、クルマ好きに与えたインパクトや、高級SUVのゲームチェンジャーとしては伝説クラス。しっかり整備されたタマであれば、現在でも十分以上のパフォーマンスを発揮するはず。
チンタラ走っている初代カイエンを見つけたとて、勝負を挑んだりするのはあまりおすすめできません。
初代トヨタ・セルシオ
1989年のリリースとなる初代セルシオは、若いクルマ好きにとって「ちょい古な高級セダン」くらいにしか見えないかもしれません。もう少し詳しい方なら、いまのレクサスブランドが送り出した最初のモデル、なんてことが頭に浮かぶでしょう。
が、セルシオ誕生は歴史の教科書でいえば、ずばり「産業革命」クラスの出来事にほかなりません。
アメリカで破竹の勢いで売れまくったことは、すなわち従来の高級車をことごとく追い越し、打ち破った証。それまでも相当高かったトヨタ品質をさらに倍くらい厳しくした結果、エンジンがかかっていること、いや走っていることすら感じさせない快適性能を実現したのです。静粛性や防振性能の高さは、海上自衛隊が潜水艦づくりの参考にしたいと技術供与を依頼してきたほど。
また、各国のプレミアムブランドがガチで脅威を感じて、欧米某社については自社による開発をあきらめ「トヨタからセルシオを買って売ろう」としたなどという噂すらあるほど。
また、セルシオのすごいところは、トヨタ社内の品質管理レベルも向上させてしまったところ。当時のライバルと目された日産シーマもよく売れたものですが、果たしてメーカー自身の意識向上までなしえていたかどうか、筆者は寡聞にして知りません。
もはや30年以上前のクルマですが、路上で見かけるといまだにちょっとした畏怖を感じずにはいられません。トヨタの底力は、ことクルマに関しては銀河系ナンバーワンかもしれませんね。