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理想の走りとスタイルを追い求めて10年! Modulo Xの歴史を紐解く (2/3ページ)

理想の走りとスタイルを追い求めて10年! Modulo Xの歴史を紐解く

空気を味方に走りを変える! ”実効空力”10年の進化

 ブランドのスタート時より、中心となってモデューロXの開発を行ってきたホンダアクセスの福田正剛氏と、開発陣に混じって本気で評価・提案を行ってきた“ドリキン”土屋圭市氏。両者が「Modulo X」に込めた思いや開発時の苦労などを、”業界のワークス担当”山本シンヤ氏が聞いた。

――土屋さんとモデューロとの関わりは、いつ頃からですか?

土屋 2009年くらいかな。本田技術研究所からホンダアクセスに異動してきた吉田博さん(元ホンダアクセス広報室長)が声をかけてくれたんだけど、条件を提示したんだ。それは「一緒にやるなら”職人”を入れてほしい」と。そこでホンダのトップ評価ドライバーチームのひとりで、クルマのことをよくわかっていて、クルマが好き。そしてサラリーマンのような仕事をしない人ということで連れてこられたのが福田さん。

 モデューロX第1弾は、空力的に不利なN-BOX……結果的にそれが、実効空力によって走りを変える、モデューロXの方向性を決めるきっかけになったと言っていい。

――そこから土屋さんとモデューロのタッグが始まるわけですね。

福田 最初はインサイトでのJOY耐参戦でしたね。ただレースなのにストリートラジアルタイヤで出ることになっちゃって、土屋さんにダメ出しされるかと思ったら、「行くぞ! エアはリヤ5kg、フロントは2.5kg」って。で、そのクルマに乗せてもらうと、たしかにゾーンは狭いけど爽快に曲がる。ダメと言わず、与えられた環境下で最大限の能力を引き出す……「これがプロか」と。

――それまでモデューロというと純正アクセサリーが主でしたが、モデューロXに至った経緯は?

福田 研究所でいろいろ経験してきた自分の生きる道は、「クルマ1台のトータルコーディネイト」だと。そこで”走れるコンセプトカー”の開発を進めました。

――その後、2013年に初のモデューロXが登場します。初代N-BOXをベースにした理由は?

福田 当時、シリーズを盛り上げていこうという雰囲気がありました。そこで、ホンダアクセスとしてもコンバージョン事業でサポートすべきと判断したからです。ただ私は研究所時代、主にスポーツ系を手がけていて、軽自動車に興味がなかった。さらに言うと、背が高いN‒BOXではモデューロが目指す走りは難しいと思っていました。

Modulo Xの方向性を決定づけたコンプリート第1弾

 車体の下を抜ける風の流速を高め、かつ左右から後方へ風を滑らかに流す形状とすることで前後バランスを整える専用フロントエアロバンパー。初代モデルから実効空力の考えが反映されている。

 15mmローダウンの専用サスペンションも搭載。高速道路での高い走行安定性、スポーティなハンドリングを両立する、しなやかな乗り心地など、その走りは10年前の軽スーパーハイトワゴンとは思えない!

――ノーマルの初代N‒BOXに乗ってどう感じましたか?

福田 エンジンはホンダなので元気がよくて、街中では非常に快適なんですが、高速だと真っすぐ走るのに気を遣う。「軽自動車だから仕方ないか……」と思いつつライバル車に試乗してみたら、これが真っすぐに走る。「なぜ?」と調べてみると、フロントバンパーまわりに秘密があるようだ、と。

――つまりエアロダイナミクスの効果だったわけですね?

福田 そうです。N‒BOXは空力的に厳しい形状ですが、コンセプトカーでトライしていた実効空力の考え方を試してみると、走りが大きく変わりました。

土屋 今回久しぶりに乗ったけど、今でも十分通用するよ。背の高さを感じさせない小気味いい走りだから、「ちょっとワインディングを攻めちゃおうかな」と思えるN‒BOXに仕上がっている。

 現在、開発の中心は福田さんから後継者の湯沢峰司さんに移っているが、土屋さんはことあるごとに「お前、楽しんでるか?」と湯沢さんに問いかけるという。またテストする場所も「同じ道ばかり走って楽しい?」と、時には違う道へ。そこで新たな発見もあるのだという。土屋さんの禅問答のような問いかけが、開発陣に”気づき”を与えているのだ。

――ひと手間かけることで、クルマが変わったんですね。

福田 もちろんコストの問題もありますが、我々の辞書に「仕方ない」の文字はないです。

土屋 モデューロXはとにかく走り、それも数値に表れない乗り味にこだわる。その実現のためには手間暇は一切惜しまない。だから、開発時間に制限はないよ。

進化した実効空力で走りを高めた”今買える”フリードModulo X

 機能性の高さだけではなく、ノーマルよりカッコよくなければならないというのが土屋流。専用フロントグリルや専用LEDフォグライト/専用フロントビームライトなどでスタイルアップを実現。リヤにも専用リアロアースカートを採用。

 フロントバンパーサイドのエアロフィンがホイールハウス周辺の気流の乱れを抑え、旋回性能を高める効果を発揮。

 フロントバンパー下面のエアロスロープ、エアロボトムフィンが空気を車体下面へ導き、リフトバランスを最適化。

足まわりにもこだわりあり!

 実効空力とともにこだわりの専用セッティングのサスペンション。快適な乗り心地とともに、『タイプR卒業生でも走りに満足できること』をテーマに開発した”通勤快速仕様”だ。

 ユーザーに『乗ってみたい』と思わせる上質な室内も至上命題。プライムスムース×スエード調のコンビシート、ディンプルレザー&スムースレザーの専用本革巻ステアリングホイールが機能性と質感を両立。

――土屋さんはどのくらいの段階からテストに参加するんですか?

土屋 「最後にちょっと乗って確認」ではなく、最初から関わっている。モデューロXの開発部隊のこだわりは凄いよ。時々「オレを土屋圭市だと思ている?」と感じるくらい、こき使う(笑)。あと福田さんはホントしつこく(笑)、あるテストでNGが出たアイテムを次の日にもテストさせる。「そんなの、やっても意味ないよ」と言うんだけど、「ほかのパーツを組み合わせると変わるかも」と聞かない。で、実際に試すと「マイナス×マイナス=プラス」のような化学反応を起こすことがある。

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