理想の走りとスタイルを追い求めて10年! Modulo Xの歴史を紐解く (2/3ページ)

格上モデルと勝負できる乗り味を実現するのがModulo X

――この10年でさまざまなモデルにモデューロXが設定されましたが、一番苦労したモデルは?

土屋 ステップワゴンかな? だって、開発期間がモデューロX最長となる2年半だからね。ミニバンはドライバーだけが良ければいいのではなく、同乗者が快適に過ごせなければダメ。最初のうちはステアリングを握らず、後席にばかり乗っていたのを覚えている。

もっとも思い出深いモデューロXは!?

Modulo X開発アドバイザー 土屋圭市

「乗る人の年齢層が幅広いから、開発に2年半もかかった。走り出したときに『ああ、いい人生を送っているな』って思えるか(笑)。ドライバーだけが気持ちいいんじゃなくて、後列の家族も快適じゃないといけないしね」

Modulo X開発統括 福田正剛

「1台に選べませんでした(笑)。N-BOXは”原点”。今回改めて試乗して、当時から考えはブレてないなと思えました。S660は土屋さんがサーキットを走っても対応できるように作った、自分たちを成長させてくれたクルマです」

自動車研究家 山本シンヤ

「ライバルのようにスポーツ色を高めるだけでなく、より快適/より安心/より楽/より速く/より遠くに行きたくなる……ドライバーだけでなく同乗者も楽しくなる”ミニバンのGT”と言えるステップワゴンが一番です」

福田 土屋さんは”走り”のイメージが強いですが、買う人の気持ちをよくわかっています。だから走るより前に、まず見た目や装備、使い勝手など、細かいところをズバズバ指摘してくる。

土屋 いくら「走りがいい」と言っても、見た目がカッコ悪ければ「乗ってみよう、運転してみよう」と思ってもらえないからね。

福田 おかげでどんどんハードルが上がっていきます。以前、土屋さんが「ポルシェ・マカンに試乗したら良かった」と。「いや、価格が数倍以上違うんですけど……」と言うと、「でも、乗り味ならできるでしょ?」って(笑)

土屋 モデューロXの開発メンバーなら、きっと実現できると思うから言うんだよ。じつはメンバーみんな、本来の業務と並行しながらモデューロXの開発を行っている。要するに”好きもの”集団なの。ノーマルよりいいのは当たり前で、さらに格上のモデルと勝負できる乗り味を実現すること。それがモデューロXのブレない軸だよね。

“実効空力”エアロをはずしたらどうなる!?

 以前に実施された「実効空力デバイス」体験試乗会では、フロントバンパーのみをノーマルへ戻したモデューロX仕様を用意。専用サスにより車体ロールの軽減や直進性向上などの効果を感じたものの、路面のバンプなどでタイヤの接地感が弱まることも。フロントバンパー交換後は、ダウンフォースが増したかのように接地感が向上した。

実効空力はまだまだ進化する! キーワードは”シェブロン”!!

 半導体不足の影響で開発中止になったヴェゼルe:HEVモデューロXコンセプトに採用されていた”シェブロン(鋸歯)形状”の実効空力デバイス。シビックタイプR純正アクセサリーの「テールゲートスポイラー」にも採用され、リヤのダウンフォース向上に抜群の効果を発揮!

 リヤのダウンフォースを若干高めることで前後の空力バランスを整え、リヤタイヤのグリップ性能が向上。その結果、安定性が高まるのだ。

“軽からスポーツまで”バラエティに富んだ歴代モデューロX

N-BOX Modulo X
2013年1月発売

 モデューロX第1弾となるモデル。エクステリアは実効空力を生む専用エアロと専用ローダウンサスペンション(マイナス15mm)の組み合わせで、軽ハイトワゴンを 感じさせない走りを実現。インテリアも質感を高める加飾 やステッチなどをプラス。「走りがいい」だけでなく「見た 目もいい」とトータルでコーディネイトされている。

N-ONE Modulo X
2015年7月発売

 N-BOXで培った技術やノウハウを少し背が低いセダンタイプに応用。モデューロXのふたつの柱となる「実効空力」と「サスペンションチューン」に加えて、ボディ側にも補強をプラス。基本素性の良さも相まってスポーツ性能に優れるが、モデューロXの世界観は損なわれていない。このモデルのみ、持ち込み登録が不要である。

STEP WGN Modulo X
2016年10月発売

 ミニバン初となるモデューロX。他のモデルと大きく異なるのはドライバーだけでなく同乗者にも納得してもらう乗り味の構築だ。走りと快適性のバランスを整えることに悩み、開発期間が最長のモデューロXだという。マイナーチェンジでエクステリアのデザイン変更が行われた が、同時に待望のハイブリッドモデルも追加設定された。

FREED Modulo X
2017年12月発売

 コンパクトミニバン初のモデューロX。ガソリン車のみならず、シリーズ初となるハイブリッドモデルの展開も行われ、人気を博した。実効空力理論が盛り込まれたエアロパーツと専用サスペンションによる走りの裏テーマとして、「タイプRユーザーに家族ができたら?」というコンセプトでセットアップが施されているそうだ。

S660 Modulo X
2018年5月発売

 モデューロX初となるスポーツカーのコンバージョンモデル。S660の運動性能の良さを損なうことなく、ストライクゾーンをよりセンターに寄せた1台だ。専用フロントバンパーに加えてリヤにはガーニーフラップを追加装着。サスペンションは走るステージに合わせて5段階調整が可能だ。しなやかさを持たせたアルミホイールも採用。

VEZEL TOURING Modulo X / VEZEL HYBRID Modulo X
2019年11月発売

 モデューロX初となるクロスオーバーSUV。ハイブリッドのFF/4WD、1.5リッターターボのFFが用意されている。エアロパーツとサスペンションに加えて、独自開発のスポーツシートを装着。CR-V顔負けの直進安定性の高さとSUVを感じさせないハンドリングのキレはクラスレス。 モデル末期に設定されたため販売期間が短く、貴重な存在。

FREED Modulo X(マイナーチェンジ)
2020年5月発売

 フリードのマイナーチェンジに伴って登場。通称「2型」と呼ばれる。ベース車のフロントフェイス変更に伴い、フロントバンパーを中心に実効空力をさらに効かせる方向に。サイドの「エアロフィン」、床下先端の「エアロスロープ」、「ボトムフィン」など新たな実効空力デバイスを投入。機能もシッカリとアップデートされている。

S660 Modulo X Version Z
2021年3月発売

 S660ファイナルモデルとなる「バージョンZ」。Zの意味はもちろん「究極」だ。エクステリアは専用ボディカラー、インテリアはヒカリモノを抑えた加飾など、大人の琴線に触れるようなコーディネイトを採用。専用のロゴ入りバッグを付属する。メカニズムに関しては「現時点でベスト」ということで”あえて”手を入れていない。

FIT e:HEV Modulo X
2021年6月発売

 デビュー時の4代目フィットにRSがなく、モデューロXにはスポーティハッチの役目も与えられていた。エアロとサスを活用したチューニングは変わらないが、安全デバイスとの兼ね合いで車高を下げられない制約から、たわみを活用した独自理論のアルミホイールの採用も相まって、ハンドリングと快適性を高次元でバランスさせている。


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