画期的な4輪駆動システムでレースでも大活躍
3代目スカイラインGT-R(1989〜1993年)
GT-Rファンにとって待ち焦がれていた3代目が登場したのは1989年。8代目スカイラインに設定された3代目GT-Rは、デビューから圧倒的な注目を集めます。
2代目の販売終了から16年ほど経過し登場した3代目は、当然大きく進化していますが歴代モデル同様にレースで勝つためのモデル。そのため、駆動方式はFRではなく4WDを採用しました。
この4WDは「アテーサ・E-TS」と呼ばれるトルクスプリット式で後輪駆動をベースに走行シーンに合わせて、前輪にも駆動力を配分するシステム。実際、このシステムを搭載したことで3代目はレースシーンで大活躍することになります。
パワーユニットはRB26DETT型2.6リッター直6DOHCツインターボを搭載。最高出力280馬力を発揮するパワーと4WDならではのスタビリティでファンが期待していた、さらに上のパフォーマンスを発揮しました。
3代目は1989年後半から全日本ツーリングカー選手権のグループAに参戦して1993年まで全戦全勝。無敵のツーリングカーとしてその名を高めました。
4代目スカイラインGT-R(1995〜1998年)
記憶にも記録にも残った3代目の後を受け、1995年に登場したのが4代目スカイラインGT-R。完成度が高すぎた3代目の後継モデルとなる4代目はデビュー前、多くのファンから「果たして進化しているのだろうか?」と心配されることになります。
そんな声が日産にも届いたのか4代目の開発陣は大いに奮闘。ニュルブリンクサーキット(オールドコース)で3代目がなし得なかった(8分20秒)8分切りを果たす7分59秒を記録。先代より一歩上を行くパフォーマンスを得ることに成功しました。
パワーユニットや駆動方式は先代から引き継いでいるものの、さまざまな改良が施されています。
エンジンはRB26DETT型を継承していますが、インタークーラーの軽量化など走行性能を高める改良を実施。4WDシステムも「アテーサ・E-TS」を搭載しましたが、後に追加された「Vスペック」にはLSDやABSを統合制御する「アテーサ・E-TS プロ」が新たに採用されています。
ただ、それでも3代目の存在感が高かったのか、4代目は先代ほどに人気を得ることはできませんでした。3代目とは違い4ドアセダンからホイールベースが縮小されなかったことなど、GT-Rらしいスペシャル感が薄まったこともその理由なのでしょう。
5代目スカイラインGT-R(1999〜2002年)
「スカイラインGT-R」としては最後のモデルとなる5代目は1999年にデビュー。大きくなったことで不評だった4代目から全長&ホイールベースを大きく短縮して登場しています。
RB26DETTエンジンとアテーサ・E-TSは先代、先々代から踏襲していますがともに大きく成熟。エンジンはターボチャージャーとバルブタイミングを中心に改良が施されたことで最高出力こそ変わりませんが、最大トルクが引き上げられました。
また歴代GT-Rで初となる6速MTが採用されたことや、リヤデフにヘリカルLSDを備えたことも特徴といえるでしょう。
ただ5代目の進化はここで終わりません。ハイパフォーマンス仕様「Vスペック」にはカーボン製ディフューザーを装備するなど空力性能にも力が入れられ、旋回性などとともに高速走行時の安定性までこだわられました。
5代目は2007年に現行型(R35)へ後を託しましたが、ファンにとってそれは別物。中古価格がとんでもない価格で取引されるほど、5代目はいまだにファンから愛されています。
現行型GT-R(2007年〜)
GT-Rとの名が付くもののスカイラインシリーズとまったく別物となった現行モデル。スカイラインGT-R同様、4WDシステムのアテーサ・E-TSが装備されましたが、パワーユニットは3.8リッターV6ツインターボ、シャシーは独立型トランスアクスルを採用するなど大きく変更されています。
現行型とはいえデビューからすでに16年以上経っていることで、外観やメカニズムなどかなり変更されています。
最高出力は480馬力から570馬力(NISMOは600馬力)へ向上。合わせて価格もデビュー時の標準仕様は777万円だったのが、現在は1000万円以下で購入できるモデルはなく1082万8400円からと大幅にアップしました。
2024年モデルが発表されるなど、まだまだ進化し続ける現行型ですが、今後、どのように発展していくのか楽しみです。
まとめ
スカイラインに思い入れがない方には信じられないかもしれませんが、コアなファンにとってスカイラインは「直6エンジン+丸目テールランプ」あってこそのクルマ。当然、V6エンジンを搭載するR35型GT-Rは「スカイラインGT-R」とは別物です。
ただ、そこまでファンがこだわりを見せるのはレースシーンなどで実績をあげGT-Rというブランドを築き上げてきたからこそ。
今回、歴代モデルを振り返ったことで、いまだにスカイラインGT-Rが信仰されている理由がわかったのではないでしょうか。