トヨタ・カムリはなぜ日本から消滅? 歴代モデルの「役目」と今後の行方 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■トヨタ・カムリの国内販売終了が報道された

■そこで今回は歴代カムリを振り返る

■カムリに代わるモデルについても検討

ここ最近は「ひっそり」と売られていたカムリ

 トヨタ・カムリの国内販売終了のニュースが本稿執筆中に駆け巡っている。グローバルマーケットではトヨタの基幹販売車種であるカムリだが、ここ最近は日本市場においてはまさに「ひっそり」と販売が続けられていた。

 そのカムリの源流は1980年まで遡る。初代というか、初めて日本語の『冠』を源とするカ「カムリ」という車名をつけたモデルはFR(後輪駆動)を採用し、「セリカ・カムリ」と名乗っていた。人気の高い現行5代目プリウスのことを「セリカ4ドアクーペ」と表現した人がいた。その意味では駆動方式などは異なるものの、5代目プリウスのご先祖様といえるかもしれない。

 1982年にFF(前輪駆動)を採用した2代目カムリがデビューする。ただ歴代カムリのカウントの仕方では、この初のFFカムリを初代モデルとすることもある。対米輸出を主眼に開発されたモデルであり、当時トヨタ車のなかではFF方式を採用するモデルはわずかだったこともあり、対米輸出を主眼においていたものの、デビュー当初は5速MTのみの設定で、遅れてATが追加されている。

 3代目は1986年にデビュー。トヨタ車のなかで初めて「ハイメカツインカム」を搭載。1987年には対米市場を意識したV6エンジンを搭載した「プロミネント」を追加設定した。1988年に当初セダンしかなかったプロミネントに4ドアハードトップが追加となり、これをベースに北米市場では「レクサスES250」がラインアップされている。

 筆者は当時大学生であり卒業旅行でロサンゼルスを訪れた際に、直4エンジンを搭載したカムリのレンタカーを借りたことがある。当時はパッシブシートベルト(ドアを閉めると自動的に装着されるシートベルト)が装備され、とても珍しいなあと思っていたことを覚えている。当時のアメリカ車はV型大排気量エンジン搭載が当たり前。そのなかで直4ながら不満なくフリーウェイなどを走っていた。当時のアメリカ車に比べると、発進加速の良さが印象的であった。

 1990年に4代目がデビュー。時代はバブル経済後期。カローラを「卒業」した父親が最上級グレードのZX(後期モデル)を購入した。ソフト樹脂のダッシュボードなど質感の高さはセルシオ並みで、雨滴感知式オートワイパーなど贅沢装備も豊富に装備されていた。それまでMT車しか運転していなかった父にとってAT車は初めてだった。納車の時の試運転で思わず足踏み式パーキングブレーキをクラッチ代わりに思い切り踏んで急停車させたのが納車の思い出であった。

 1994年に5代目がデビュー。バブル経済が崩壊し、新車は従来モデルに比べてコストダウンの目立つモデルチェンジを行っていた。そのなか我が家でも父が5代目へ乗り換えた。同じZXグレードを購入したのだが、雨滴感知式自動ワイパーなど豪華装備は激減し、思い切りコストダウンした形跡がそこかしこに目立っていた。

 1996年に6代目が「カムリ・グラシア」としてデビューする。このころから北米市場ではかなり良く売れるようになった。そして、シリーズ初の全車3ナンバーワイドボディとなった。カムリはアメリカにおいては日本のカローラセダンのような存在となる。故障が少なく、燃費が良い実用セダンとして中間管理職のお父さんなどの通勤用のクルマとしての需要が多いのである。

 筆者の家では、マイナーチェンジを期に「カムリ・グラシア」から「カムリ」になったセダンに乗り換えた。当時でもセダンは日本ではあまり見かけることはなかった。納車された実車を見ると、記憶ではタイヤ(日本ブランド)とフロントウインドウにアメリカ製のものが装着されていた(クルマ自体は日本製)ことに驚くとともに、アメリカが大好きな筆者はとても嬉しかった。

 内外装ともに奇をてらった部分はなく、オーソドックスで実用性重視となっていたのだが、質感が程よく高く父親も初めての3ナンバー車となったがとても満足していた。

 2001年に7代目がデビューし、同時に我が家のクルマとなった。6代目の大ヒットを経て、よりアメリカ市場を強く意識して、さらなるボディサイズの拡大を行った。全幅10mm拡大、全長55mm延長は結構デカさを感じた。

 2006年に8代目が登場。ここからは筆者が南カリフォルニアを訪れた時の移動の足としてカムリをよく借りることが多くなった。その後2011年に9代目、そして2017年に現行10代目がデビューしている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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