海外ではクルマに乗らなくても免許を持っていることが好都合
確認しておくが、「偽造運転免許」を買うのではなく、公式な運転免許が買えるというところが、日本など西側先進国とは大きく異なるのである。いまでは“買えた”という過去形になっていることを願うばかりである。
インドネシア通の知人からは、「正式な運転免許試験は受けるのだが、教官がつきっきりで答えを教えてくれる(もちろん賄賂必要)」といった話を聞いたことがある。
さまざまな国において、“免許を買う”という話を聞いたことで、「新興国では似たような話は結構存在するんだな」と感じた。
頻繁にミサイル発射して世界を震撼させている、某半島の独裁国家の国家元首は大のクルマ好きと聞く。小学生の時にお爺さんからメルセデスベンツEクラス(W124)を誕生日プレゼントでもらって乗りまわしていたという、伝説のアニメ「巨人の星」の花形 満なみの都市伝説があるほどクルマは好きなようだ。報道ベースでの某国の映像を見ていても、ロールスロイス・ファントムやメルセデス・マイバッハなどが背景に映っていることが確認できる。ただ、アメリカの偵察衛星にこのようなクルマで移動しているとキャッチされやすいとして、以前かなり西側諸国と険悪なムードになったとき(今以上)に、幹部クラスの部下に某日系高級ブランド車をばらまき、そのうちの1台で移動していたという都市伝説も聞いたことがある。
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日本人でも中国の運転免許が取得できるとしているが、多くのグローバル企業では現地の運転環境の悪さなどを考慮し、原則中国だけでなく多くの新興国での運転を禁ずる企業が大半と聞く。ただ、中国では外国人で運転免許証を持っていると、中国の人の態度もがらりと変わって非常に親近感を持ってくれるので、その意味でビジネスにも役立つとのことで運転免許だけを取得するというケースもあると聞いたことがある。
筆者もタクシードライバーに目的地を告げるためにメモ帳に簡体字で行き先を書いたら(日本人が使う漢字でも通用する)、ドライバーがやたらフレンドリーになったのを覚えている。自分たちの社会を認めてくれているといった印象を受けるのかもしれない。
新興国では交通環境の悪さのほか、ドメスティックルールが多すぎることも特色の1つ。カオス的な状況のなかでの運転も多くなる中国だが、Uターンに寛容なのは有名な話。全中国で共通しているかは定かではないが、Uターンの意思が対向車に伝わると、停車してUターンを促してくれるシチュエーションにはよく遭遇した。
それでも現地駐在員の運転が規制されているのはあくまで各企業の自己判断によるもの。腕に自信がある人は是非日本の運転免許証(国際運転免許証は翻訳版のようなもの)で、「運転可能な新興国でのドライブを楽しんでみては?」とおすすめしたいが、インドなどではようやく自動車保険という概念が広まろうとしている段階。そのため企業では移動用に社用車と運転手を雇用していたのだが、事故に関するリスクの高さから、車両だけでなく、運転手付きでリース会社から車両を借り受けて利用し、月額リース料だけを払いリスクヘッジしているとも聞いている。
運転はできるが、リスクは日本や欧米などよりはるかに高いと考えたほうがいいだろう。