この記事をまとめると
■最近のポルシェには多数の、そして高額なオプションが用意されている
■オプションを選択しないとポルシェ自慢の機能を使うことができないモデルも多い
■ラインアップの充実で幅広いニーズに応えるためにオプションの種類も充実することになった
見積もり額の3分の1がオプション代となる場合もある
たまにポルシェの広報車両に乗ると、オプションの種類の多さと価格の高さに驚くことがある。今年2月に開催されたJAIA輸入車試乗会で乗ったタイカンターボクロスツーリスモもそうで、オプションリストには30以上もの品名がずらっと並んでいた。
当然ながら、その分価格も上がっている。車両本体だけでも2056万円に達していたが、加えて777万5000円ものオプション価格が加わっていた。これだけでマカンが買えそうな金額だ。
全部は紹介できないので、「大物」をピックアップすると、ブルメスターハイエンドサラウンドサウンドシステム76.4万円、ポルシェダイナミックシャシーコントロール(PDCC)54.5万円、21インチクロスツーリスモデザインホイール53.7万円などとなっていた。
では、もしオプションを一切選ばなかったらどうなるか。もちろんその状態でもタイカンは走る。エアコンやオーディオなど、基本的な快適装備は揃っている。しかし、オプションにはそれらをグレードアップしたものが用意されているし、内外装の仕立ても違ってくる。
さらに機能面でも、前述したPDCCに加えてリアアクスルステアリング、つまり4WSがオプションとなっているので、素のタイカンではポルシェが誇る最新テクノロジーの一部しか堪能できないということになるのだ。
こうした傾向は、ポルシェに限った話ではない。多くのプレミアムブランドには豊富なオプションメニューが用意されている。たとえば同じJAIA試乗会で乗ったBMW 740iMスポーツは、数こそ8点と少なかったが、BMW individualのフルレザーインテリアだけで125.2万円に達していて、車両本体1490万円に対してオプションが441.3万円となっていた。
では、なぜ高価格車はオプションを豊富に用意しているのか? クルマに限らず高価なモノを買う人は、機能そのものだけでなく付加価値への投資もするわけで、他人とは違う仕立てを望むことが大きいのではないかと思っている。
タイカンでいえば、PDCCや4WSがつかないストイックな仕立てこそポルシェらしいと思う人もいるだろうし、逆にプレミアムブランドだからこそ凝ったデザインや快適な装備が欲しいという人もいるだろう。
21世紀に入ったとき、ポルシェのラインナップは911とボクスターしかなかった。それがいまは、SUVはおろか電気自動車まで用意している。ユーザーの幅が、以前とは比べ物にならないぐらい広がった。それに対応するために、豊富なオプションを用意することになったのではないかと考えている。