この記事をまとめると
■かつて販売していたホンダのSUV、エレメントについて解説
■ライフガードステーションをイメージしたクルマで、デザインも生産もアメリカだった
■日本では価格が高かったこともあり当時のセールスは失敗に終わった
たった3年で販売を終えるもいまになって大人気のSUV
いまだに圧倒的な人気を誇っているクロスオーバーSUV。それだけに、さまざまなメーカーから新たなモデルが続々登場しているのはご存じのとおり。そんなクロスオーバーSUVブームのいま、再評価されているのがホンダのエレメントである。このエレメントは、もともと北米市場の若いユーザーをターゲットに誕生したもので、デザインもホンダの北米現地法人が手掛け、生産も北米と完全にアメリカ向けの車両となっていた。
そのため、エンジンも車格からすると比較的大排気量な2.4リッターで、デザインも輸入車風のものとなっていたのだが、これはある意味必然と呼べるものだったのである。
特徴的だったのは観音開き形状を採用したドアで、ライフセーバーたちが詰めるライフガードステーションをイメージしたもの。それだけに、マリンスポーツを楽しむユーザーがターゲットで、シートやフロアに防水処理がなされていた点も特徴となっていた。
北米では2001年のデトロイトモーターショーでコンセプトカーの「モデルX」として発表され、2002年12月より販売をスタート。そして翌年4月からは日本での販売も開始された。
ただ、北米で生産されたモデルを輸入して販売するという都合上(もちろん右ハンドル化はされているが)か、トランスミッションは4速AT、駆動方式は4WDのみのモノグレード展開となっていた(北米ではMTや前輪駆動モデルなども存在)。
価格は259万円(2005年6月のマイナーチェンジ時に271万9500円に変更)と、同時期のCR-Vの最上級グレードよりも30万円近く高いプライスとなっており、2リッターのCR-Vよりも格上の車種というポジションに収まっていた。
しかし、やや使い勝手に劣る観音開きドア(フロントドアが開いていないとリヤドアが開けられない)や、無塗装樹脂部分が多いエクステリアなどが安っぽいといわれ、2005年12月に早々に輸入が打ち切られてしまった(北米では2011年まで継続販売)。
たしかに当時はそのような声があったのは事実だが、現在ではあえてバンパー類をブラックアウトするチープ風カスタムもSUVモデルでは定番のものとなっており、アウトドアレジャーにもピッタリの防水内装など、あらためて評価されている点も頷けるというもの。
そのため、エレメントは時代を先取りしすぎた不運なクロスオーバーSUVといえるのではないだろうか。