峠道を走って燃費もこんなにいいの!?  乗るたびにほっこりするオシャレさもGOOD! 編集部の「ルーテシアE-TECHフルハイブリッド」1週間使い倒しリポート【前編】

ワインディングも走りやすくて気持ちいい!

――走りに、革命を。

 メーカーがそんなキャッチを掲げる、ルノーの「E-TECH FULL HYBRID」。

 F1のトランスミッションやエネルギーマネージメントの技術を取り入れて開発した、独自のフルハイブリッドシステムだという。

 現在E-TECH FULL HYBRIDを採用するのはコンパクトカーのルーテシア、SUVのキャプチャー、アルカナの3車種だ。

――静かなだけじゃない。環境に優しいだけじゃない。燃費が良いだけじゃない。その技術がもたらす走りは、ハイブリッドカーの常識を覆す。

 資料に並ぶ文言に「確かにルノーならやってくれそう」という気持ちと、「本当か?」という気持ちが渦巻く。

 そこで今回WEB CARTOP編集部は、ルーテシアE-TECH FULL HYBRIDをスタッフカーとして導入! とある1週間をリポートする。

DAY1 箱根で撮影(石田)

 毎月1回、ものすごく楽しみにしている取材がある。それは10年以上も担当を続けている、雑誌のCARトップに連載中の「黒沢元治のDPQ」企画の撮影だ。クルマ好きにはお馴染み、伝説のレーシングドライバーであり、自動車の評論家としても活躍しているガンさんこと黒沢元治さんに、公道で新車をインプレッションしていただく企画。ボク自身はガンさんを師と仰いでおり、自動車評価のアレコレをずっと教わってきた。

 で、何が楽しみかと言えば、ガンさんの正確無比な評価が生で聞けること。ボクがイイと思ったクルマ、ここがイマイチと思ったクルマが、果たしてガンさんが乗ってどうなのか、つまりは答え合わせができるのだ。そして今日、ガンさんに乗ってもらうのが我らがルーテシアE-TECH FULL HYBRIDというワケ。ダメなものはダメと、歯に衣着せぬ評価を下す(しかも数値で採点もする!)ガンさんだけに、緊張もある。走りが素晴らしいという理由で、お気に入りで乗っているルーテシアE-TECH FULL HYBRIDがもしも「全然ダメ」だったら……ボク自身のクルマへの評価能力もダメと言われているも同然なのだ。

 いつもどおり早朝に千葉県内の自宅を出て、首都高速から東名高速を通り、一路神奈川方面のワインディングへと向かう。首都高は継ぎ目が多く、コーナーだらけだし、左右から合流があるなど、とにかくせわしない道だけれど、ルーテシアE-TECH FULL HYBRIDにはむしろピッタリ。実用的なコンパクトカーの部類としては、引き締められた足がシッカリと路面を捉えて、コーナー途中の継ぎ目でも、タイヤがギュッとアスファルトを掴んでくれているような感覚があって不安にならない。ほどよいボディの小ささも走りやすさに直結している。

 東名に入ったところで、アダプティブクルーズコントロールをオンにして、さらにレーンセンタリングアシストもオン。これでステアリングに軽く手を添えているだけで、前のクルマとの車間をキープしつつ、ステアリングにもアシストが入り、車線のほぼ中央を走ってくれる。正直、ちょっと前のルノーだったら信じられないレベルの快適装備の充実度だ。ADASが遅れていたのはもう過去のことで、今は国産車に比べて何ら劣っていないといっていいだろう。

 そうこうしているうちにワインディングへと差しかかり、どんどんと峠を登っていく。決してパワフルではないけれど、タイトコーナーの出口では、瞬時にモータートルクが立ちあがってクルマを引っ張ってくれるから、曲がりくねった狭い日本のワインディングが走りやすくて気持ちがいい。

 じつはルーテシアE-TECH FULL HYBRIDに唯一注文を付けたいのが、パドルシフトを付けて欲しい、ということだったりする。電子制御ドッグクラッチ マルチモードATなる新規開発のATは、エンジン側の4段のギヤと、モーター側の2段のギヤを組み合わせて、12通りの変速をするという説明を、発売時点で聞いている。この特殊なトランスミッションゆえにもしかしたら手動変速自体が難しいのかもしれないが……。要はそのぐらい走りを楽しめるということの裏返しでもある。だが、代わりといっちゃなんだけど、シフトレバーをDからBに入れると、アクセルオフで強い回生ブレーキが働くために、ワインディングはほぼワンペダルでご機嫌に走れたりもする。もちろんゴミゴミして速度変化が大きい首都高でも使いやすく、ボクはお気に入りのモードだ。

 そうしてガンさんとの待ち合わせ場所へ。「評価はどうかな?」緊張しながらガンさんへとステアリングを託してボクは助手席に身を移し、ワインディングを走り出す。結果は──「走り終わったあとでも興奮に似た感覚が残っている」──ドライビングプレジャーを主眼に置いて評価するガンさんのこの企画で、10年以上も色々なインプレッションを伺っているが、数十台に1台ぐらいの最高といえる評価だった。詳しくは雑誌CARトップ2023年4月号をご覧いただきたく!

 帰りも再び同ルートを通ったが、なんとトータル燃費は4.5L/100km! 勾配のきついワインディングを走行しているのに、日本式に直せば22.2km/Lの燃費を達成した。いやはや、E-TECH恐るべし。

DAY2 深夜帰宅(乾)

 毎週火曜日は編集会議を行なっている。前週の結果を振り返り、今後WEB CARTOPで展開していく記事の内容を検討。「もっとこうしたほうがいい!」「こんなことがやってみたい!」などといった熱いディスカッションから、脱線に脱線を重ねた、ただのクルマ談義などにより、時には終電を逃してしまうことも……。

 この日の会議も夜遅くまで続き、自宅の方向が同じ藤田副編集長とルーテシアE-TECH FULL HYBRIDで帰宅することに。

 対面してみて改めて感じるのはデザインのよさ。センターのロサンジュへとナチュラルにつながるLEDヘッドライト。彫刻のようなボディサイドの抑揚。またリヤのドアノブをサッシュに隠したことなどにより、5ドアでありながらクーペのように見える。決して派手ではないのだが、他のクルマにはない個性が光る。

 室内はブラック基調でシンプルかつスポーティ。ステアリングの奥のデジタルインストゥルメントパネルには速度やエネルギーフローなどに加えて、自車と同じ色のルーテシアのイラストが描かれていて、思わずほっこり。

 アクセルを踏むとスムースに発進。加速の力強さは正直、期待以上で驚いた。ハンドリングもリニアで走りは軽快。エコのイメージが強い「ハイブリッド」という言葉からは想像がつかないほどスポーティだ。

「油そばでも食べていく?」と藤田副編集長。美味しいお店を知っているとのことで、藤田副編集長にドライバーチェンジ。肌寒い日だったので、運転席だけでなく、助手席にもシートヒーターがついているのは有り難かった。こんな風にフットワークが軽くなるのも、このクルマの取り回しのよさゆえだろう。

 藤田副編集長を下ろし、自宅付近の狭いコインパーキングへ。全長4075mm×全幅1725mm×全高1470 mmというコンパクトなボディサイズや小回り性能の高さから、一度も切り返さずに停めることができた。

 会社〜自宅(下道・12.5km)の燃費は4.9L/100km、日本式でいう20.4km/L。ストップアンドゴーの多い街なかでは、かなりいい数値といえるだろう。

 普段スポーツモデルに乗っている私だが、燃費や取り回しのよさなどの実用性を差し引いても、このクルマは買いだと感じた。それほどルーテシアE-TECH FULL HYBRIDはドライビングプレジャーに溢れていた。

DAY3〜DAY5は後編にて。ルーテシアE-TECH FULL HYBRIDのさらなる魅力に迫る!


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