ダートでも性能を発揮できるマシンに進化
搭載されているパワーユニットは2500ccのEJ25型エンジンでIHIのタービンをインストール。自作のマフラーを組み合わせることで最高出力は480馬力前後を実現したという。ダンパーはテイン、ブレーキシステムはウインマックスで、PPGのドグミッションを採用。新型BRZのボンネットがスチールからアルミに材質が変更されたことに加えて、軽量化を追求すべく、アーム類も栗原オート企画のオリジナルパーツを使用したことで同社のチーフメカニック、市村圭一氏によれば「昨年まで使用していた旧型BRZの車両重量は1100kgですが、80kgは軽くなったと思います」とのことだ。
つまり、新型BRZは究極のパワーウエイトレシオを誇るモンスターマシンだが、これに加えてステアリングを握る鎌田は「これまで乗っていた旧型BRZはリヤのジオメトリーがあまり良くなくて、途中で変更したんですけど、この新型BRZではその経験を活かして、アッパーアームも作り替えているのでジオメトリーの最適化もうまくいっていると思います」と語る。
事実、18日にウエット路面で行われた公開練習で鎌田×新型BRZはトップタイムをマークしていた。
「クルマが軽いおかげなのか、とてもコントロールがしやすい。きちんと止まるし、加速もトラクションがかかっている。慣性モーメントが少ないので、リヤが流れずに止まってくれる。乗りやすいのでミスも少ないと思います」と鎌田も好感触だ。
それだけに好天に恵まれ、ドライで行われた19日の競技本番でも鎌田×新型BRZの躍進が期待されていたのだが、予想外のトラブルが発生した。第1ヒートでドライブシャフトのトラブルが発生すると、第2ヒートでもドライブシャフトのトラブルに祟られ、アタックができないまま競技が終了。なんとかフィニッシュしたことにより、12位で完走したものの、鎌田×新型BRZは不完全燃焼の状態でデビュー戦を終えることになったのである。
「ドライの路面でもフィーリングはとても良かった。ドライブシャフトにトラブルが発生したことは残念ですが、それだけトラクションがかかっていた証拠です。マシンをチェックして次戦までに対策を行いたいと思います」と鎌田は好感触を掴んでいるだけに、今後も鎌田および新型スーパーBRZの動向に注目したい。