これまで優先順位の低かった「リセールバリュー」が重要になる! 物価向上でサブスクが注目される今どきのクルマ選び (2/2ページ)

サブスクでクルマに乗るならこれまでと同じ選び方では損をする

 ところで残価については「リセールバリュー」という言葉がほぼ同義で使われているが、前述したIDOM CaaS Technologyのアンケート調査によると、クルマ選びの際にリセールバリューを気にしているユーザーは意外と少ないということだ。

 アンケート結果をみても、クルマ選びで重視していることのトップ3は「運転のしやすさ乗り心地(49.2%)」、「燃費(48.4%)」、「安全装備(40.8%)」と半数近いユーザーが注目しているが、手放す際に「高く売却できること」を気にしているのは10%に過ぎないのだ。※複数回答

 少しでもクルマを安く買いたい、トータルでのコストを抑えたいというのであれば、リセールバリューにもっと注目すべきだろうが、実際はそうはなっていない。

 その意味でも、残価が計算に組み込まれているサブスクサービスなどは月々に負担する金額が安くなるというメリットとして、リセールバリューが高いクルマが可視化される。そうしたわかりやすさもサブスクサービスが注目を集めている理由のひとつだろう。

 残価の高いクルマというのはユーザーニーズで決まるということだが、残価の設定というのは各社で共通というわけではない。同じように見えるクルマのサブスクサービスでも各社で残価の高い安いは出てくる。現時点でリセールバリューの高いクルマというのは買取価格などから事実として見分けることができるが、新車の残価設定というのは未来予測であり、各社の経験則などで変わってくるものだからだ。

 IDOM CaaS Technologyの運営するサブスクサービス「ノレル」は高い残価設定を売りにしているが、その背景には、ガリバーが中古車販売・買取で培ってきた350万台以上もの取引データなどを活用した独自のAIシステムを採用していることがあるという。

「ノレル」のサービスを支えるAIによると、2023年は非常に相場が読みにくい一年になる可能性があるという。国内需給バランスによる相場変動に加え、ドル円為替変動、新車納期遅れの回復、ウクライナ情勢によるロシア向け輸出の変動、EVに代表される電動化志向の強まり、植物検疫の影響による輸出船の停滞等などが2023年固有の事象として考慮しなければならないからだ。

 フルモデルチェンジなどの新車ラインアップの変化も相場の動きに影響が大きい。

 IDOM CaaS Technologyの予想によると、2023年の注目カテゴリーはミニバンだという。2023年内のフルモデルチェンジがウワサされているアルファードについては、旧型の中古車が多く流通することにより相場が安定方向に動くと予想される。同様に、ノア・ヴォクシー・セレナといったMクラスミニバンにおいても、新型車の納車が進むことで旧型の相場が安定してくるということだ。

 いずれにしても、サブスクサービスでクルマに乗るのであれば、高残価に設定されているモデルを選んだほうがオトクに利用することができるというわけで、これからのクルマ選びではリセールバリューの優先順位が上がっていくことだろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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