国内外のハイパフォーマンスワゴンを紹介
レガシィ・ツーリングワゴンから遅れること7年! “走りやパワー”では負けていられない日産がようやくハイパフォーマンスワゴン、ステージアを出します。ローレル/スカイラインのシャシーとドライブトレインを採用したステージアは、商用バン仕様とディーゼルエンジン仕様を持たないワゴン専用モデルで、搭載されるエンジンは何種類かありましたが、そのなかでも280馬力を発揮する直列6気筒ターボエンジンのモデルが魅力でした。
ただし、レガシィ・ツーリングワゴンと違ってステージアは後輪駆動だったため、アウトドア派にはイマイチ人気がありませんでした。その代わり、スカイライン譲りの走りの素性に引かれた走り屋系からは支持され、R33スカイラインGT-Rのエンジン・ドライブトレイン・リヤサスペンションを流用し、オーテックジャパンが手がけた特別仕様車「260RS」は、いまでも大人気です(セカンドマーケットで500万円近い価格!)。
パワー&走りという点でスバルや日産に負けず劣らないのが、「パワフルなターボエンジンによる4WDスポーツモデル」、すなわちラリーカーが得意な三菱です。三菱は1998年に8代目ギャランをベースにしたステーションワゴンを、車名を「ギャランワゴン」とせず、「レグナム」と名付けてデビューさせました。燃費や経済性を重視した直列4気筒エンジン搭載モデルもありましたが、なんといっても人気を博したのはライバル車と同様の280馬力を誇る2.5リッターV6ツインターボ搭載の4WDモデル「VR-4」です。
3ナンバーボディ&V6エンジンならではのプレミアム感で、レガシィ・ツーリングワゴンとは一線を画していました。
そんなたった3台のジャパニーズ・ハイパフォーマンスワゴンが世界を揺るがしたのかどうかわかりませんが、2000年に入ると世界中でパワー競争が勃発! すると、まずワゴンを得意としているアウディがハイパフォーマンスワゴンを、2002年に発売します。4.2リッターのV型8気筒エンジンをツインターボで武装したアウディRS6アバントは、最高出力450馬力/最大トルク57.1kgmを発揮し、0-100km/h加速は4.7秒を誇ります。
しかもこのRS6アバントの凄いところは、ブレンボ製8ポット対向ブレーキを搭載したことによって、100-0km/h制動がたった2.6秒であること! 見た目はラグジュアリーなワゴンが加速も減速もポルシェ911ターボ並みの数値を叩き出したことに、当時の専門誌&ジャーナリスト&クルマファンは度肝を抜かれたもんです。その後RS6アバントは2代目にV10エンジン(580馬力)を積んだりして着実に(いや、飛躍的に!?)進化を遂げ、最新モデルなんて4リッターV8ツインターボでなんと600馬力(0-100km/h加速は3.6秒!)なんですから!
ステーションワゴンと言えばメルセデス・ベンツも負けてはいません。メルセデス・ベンツのクルマを巧みにチューニングする「AMG」が、Eクラスワゴンのハイパフォーマンスモデルをデビューさせます。フロントに6.3リッターV8エンジンを無理矢理(?)詰め込んだ2007年登場の初代E63ステーションワゴンは、514馬力を実現。その後の16年間でエンジンがちとダウンサイジングしますが、逆にパワーは557馬力→571馬力とじわじわとアップ。
で、現行モデルはE64からE53になり、最高出力こそ435馬力とダウンしましたが、その代わり3リッター直6エンジン+モーター+電動スーパーチャージャーという次世代型ハイスペックパワートレインを搭載し、AMGの名に恥じない存在感をアピールしています。
……といった具合に、スバル レガシィ・ツーリングワゴンに端を発した「ハイパフォーマンスワゴン」ですが、そんなにバカっ速なワゴンでいったいどこへ行くのでしょうか!? 雪山も海もキャンプ場も逃げないのに……。アウトドアアクティビティを荷室に満載してフィールドに向かうときは、刹那的なスピードよりも余裕のある低速トルクがあれば十分なのに……と、筋金入りのアウトドアマンである私は憂うのです。
おっと、私がハイパフォーマンスワゴンが買えない庶民のやっかみですかね。