日本もライドシェアサービス導入が望まれる
先日訪れたインドの首都デリーでは、とくにわれわれ外国人の移動の足としてライドシェアサービスが定着していた。アプリから目的地を入力して配車要請すれば、原則会話もせずに目的地まで運んでくれる。筆者は都合により現金決済しかできなかったが、通常はクレジットカード決済となるので、支払いに関する面倒もない。インドのライドシェアサービスの料金は世界一安いともいわれており、使い勝手はかなり良かった。
遠距離ではスズキ・スイフトサイズのコンパクトセダンにし、近距離移動ならば三輪タクシーを呼ぶなど、用途に応じて車両クラスを選ぶこともできるので、とにかく手足のように使うことができた。配車要請するときに料金が確定するというのも、まさに明朗会計となり安心して利用できる。
日本でも大手タクシー事業者などがグループを組みんだいくつかのアプリ配車サービスを利用できる。利用手順はほぼライドシェアのそれと同じなのだが、すべてとはいわないが、筆者の利用しているサービスでは迎車回送料金が課金されてしまうところが気になる。
また、これは筆者個人の感覚なのかもしれないが、タクシーを呼ぶことになるのでインドでライドシェアを利用するような気軽さはなく、利用に際して気持ちを構えてしまうことが多い。たとえば都内の道路端でアプリ配車で呼ぼうとしても迎車回送料金を徴収されることを考えると、「少し待てば流しのタクシーがくるかもしれない(迎車回送料金を払わなくて済む)」などと考えてしまうこともある。
地方都市では、アプリをダウンロードしてさえおけば、そのサービスに参加している事業者がその地域にある限りは、確実にタクシーを呼ぶことができるため、一概に否定するつもりはない。
インドはタクシーというものがほぼ存在しない特殊な地域だが、たいていはタクシーとライドシェアは共存することが多い。そのような地域では、「近場はライドシェアで距離のある移動はタクシー」などと使い分ける人も多いと聞く。
筆者の住む地域もタクシーを無線配車してもらおうと電話すると、「今日は動いているタクシーが少ないので時間がかかる」「配車できない」などと案内されることも目立つ。そんなときに「ライドシェアがあったらなぁ」と思うこともある。
タクシーの稼働台数がなかなか増えないなか、空いている時間だけ自分のクルマで稼ぐことができるライドシェアサービスは、まさにフードデリバリーに従事するようなもので、ライドシェアで移動手段の補完をすることはさまざまな人の間でウインウインな結果になるのではないだろうか。
ただし、運ぶものが料理ではなく人間であることを考えると、利用者個々の自己責任という考え方が希薄な日本では、結果的にタクシー並みの利用コストを利用者が負担することになってしまうのではないかとも筆者は考えている。