この記事をまとめると
■ATは登場当初は2段変速というのもあったが、いまでは10段変速以上もある
■さまざまな研究開発が行われていたのでユニークな機能も多かった
■ATの進化によりいまでは見なくなった機能を紹介する
いまでは見なくなった貴重な機能を振り返る
いまやATの進化は凄まじく、変速ショックや過度な滑りはほぼ感じず、10段超えといった多段化も当たり前だ。しかし、ここまでの道のりはかなり険しく、さまざまな試行錯誤が行われてきた。その過程で存在したさまざまな機能を紹介しよう。
スターレンジとLレンジ
1973年にホンダのシビックに搭載されていた、いわゆるホンダマチックにあった表示がなんと☆印。その後、1980年代まで存在したが、それ以前のM360に採用されていたATには☆印はなかった。表示の問題ではなくて、じつは機能がまったく違っていて、N360はフルオートマ仕様で、☆印が付いていたのはセミオートマ仕様の2速もしくは3速だった。
さらにその下にはLレンジがあって、要はLが1速で、手動で2速である☆へとシフトした。トルコンは採用されていて、あえて滑らせることで広いレンジをエンストなしでカバーしていたのがポイントだった。
OD
ODとはオーバードライブのことで、ギヤ比1未満のギヤを指す。これ自体は現在の多段化されたATでもあるが、以前は制御の問題があって、自動ではなく手動で入れていた。上で紹介しているホンダマチックの3速セミオートマ仕様は☆とLに加えて、ODモードがあってここが3速に相当していた。また、一般的なフルオートマチックにもあって、トップギヤがオーバードライブになっていて、オン&オフはシフトサイドなどに設置されたボタンで行っていた。
現在もCVT車にはスポーツボタンがシフトノブの横に付いていることがあるが、こちらはシフトダウン的な効果なのでODとは逆と言っていい。
スノーモード
1990年代ごろのATに付いていたものでマッドモードとも言ったが、雪道などの滑りやすいところでの発進時にオンにしておくと2速発進となる機能だった。要は急激なトラクションによってスリップするのを防ぐ効果があった。
また、メルセデスベンツはこういった状況を見越して、アクセルを軽く踏んでいるときは常に2速発進となっていて、気配りの効いた制御をするものだと思った覚えがある。
シフトロック解除ボタン
こちらはノブなどのシフトそのものに付いているのではなく、レンジ表示の近くにあるもの。SHIFT LOCKという表示がされていて、基本的にはどのクルマにも付いているはずだ。シフトをロックするというのは凄い機能のように思えるが、正確にはシフトロック解除となる。
故障などで移動させる際に、ATの場合、Pに入ったままだとタイヤが回転しないので牽引なども困難になってしまう。シフトをNにすれば動かせるのだが、通常であればPでロックされてしまっているため、これを解除するのがシフトロックのボタンだ。ちなみに、差込口があってそこにキーを差し込む方法もある。