ユーザーの実体験の場が求められる
しかし、我々が新車試乗をするときも、車種によって、あるいは自動車メーカーによって、スイッチの配置や、操作手順などに若干違いがあるなど、戸惑いを覚える場合があり、消費者がはじめから的確に利用できるかどうか疑問な点は残る。そして、はじめにうまく活用できないと、利用を諦める人もあるのではないか。そういう声を聞いたことがある。
数年前は、こうした運転支援機能を自動運転であるかのように宣伝する自動車メーカーもあった。限定市販されたホンダレジェンド以外は、レベル2の水準であることが理解されず、レベル2では運転者が責任を負い、運転者自らの操作が基本で、それを支援する装置であることを誤解させる内容の言葉遣いや宣伝があった。
じつは、これら機能の多くは、突発事態のない通常の交通の流れでは、あたかも自動運転が実現したかのような技術水準のものもある。装備の完成度は自動車メーカーによって差があるのが実情でもある。
運転支援機能は、魅力的な商品性の一つであるのは事実だ。しかし、自動車メーカーや販売店は、自らの商品に対し誤解のない説明や、可能な限り実体験を通じた説明の機会を設けるなど、これまでと違った新たな販売方法を模索する必要があるだろう。同じように、電気自動車(EV)についても、知識を詰め込むだけでなく実体験の場がさらに求められる。
運転支援機能に限らず、電動化の時代へ向け、消費者との新たな接点という販売や納車の手法が、インターネット時代となっても改めて編み出されるべき時代を迎えているのではないか。