国内規定のニューマシン「GRヤリスGR4 DAT」も
一方、トヨタGAZOOレーシングは、国際規定のGRヤリスRally2のほか、国内規定のニューマシン「GRヤリスGR4 DAT」をJN1クラスに投入。同モデルは文字どおり、スポーツATのDATを搭載した2ペダルのGRヤリスで、眞貝知志がドライビングを担当していた。
レギュレーションに合わせて国際公認のロールゲージを装着したほか、競技専用の安全燃料タンクを搭載。それに合わせて足まわりの最適化などが行われていたが、基本的にこの2ペダルのDATモデルもJN2クラスに参戦するMTのGRヤリスと似たようなスペックを持つ。つまり、JN1クラスに参戦しているとはいえ、GRヤリスGR4 DATのライバルはJN2クラスに参戦するMTのGRヤリスと言っていい。
「サーキットで一度テストを行いましたが、林道を走るのは新城ラリーが初めてです。初日は予想どおり、改善すべきところが出てきました」と眞貝が語るように、GRヤリスDATはレグ1で苦戦を強いられたが、「DATの部分でいまできることは対処しましたし、足まわりのセットアップも試せたので、少しずつ良くなってきました」と語るように、レグ2で眞貝+GRヤリスDATは尻上がりにペースアップ。最終的に眞貝は総合6位でフィニッシュしたほか、SS11ではGRヤリスのMTモデルを抑えて、総合4番手タイムをマークするなど好タイムを記録していた。
眞貝のドライビングしたGRヤリスDATはギヤボックス自体はもちろん、競技専用の燃料タンクの搭載でMTモデルより車両重量が重くなっているが、それでもMTモデルと遜色ないタイムをマークしたことは賞賛に値する。
近年はFIA-GT4などレーシングカーと言えども2ペダルの競技車両が増えていることから、eスポーツ出身のドライバーも少なくはないが、このDATモデルがラリー競技でも定着すれば、ラリーシーンにおいてもeスポーツ出身のドライバーが活躍できるようになる可能性が高い。
またDATモデルが高価なドグミッションを組み込んだMTモデルを凌ぐことができるようになれば、リーズナブルにハイレベルのマシンでラリー競技に出場可能になる。つまり、眞貝がステアリングを握るGRヤリスDATは、ラリー競技において多様な可能性をもつだけに、勝田がドライビングするGRヤリスRally2とともに注目したい。