コンパクトカーでもスポーツカーやミニバンが選び放題!?
ところで、車幅の狭いクルマ=5ナンバー車の車幅は最大1700mm以下と定められている。
よって、多くの小型車、5ナンバー車の車幅は規格いっぱいギリギリの1695mmとされているのがフツーだが、もちろんそれ以下でもいいわけだ。たとえば、実用車として”とてもいい”ハイトワゴン、自動車専門家からの評価も高いプチバンのスズキ・ソリオがある。5ナンバーサイズの小型車だから車幅を1695mmにしてもいいはずなのだが、そこをスズキは1645mmとして、今回のお題のように、「駐車場が激狭!」なユーザーにも安心して使ってもらえる独自の車両規格としているのだ(同種のトヨタ・ルーミー、兄弟車のダイハツ・トールも)。
しかし、幅狭ボディにして、さすがハイトワゴンだけあって、室内空間、荷室空間は想像以上に広大。走りもこのクラス、価格とは思えない上質さがあり、新たに加わったハイブリッドなら一段とスムースな走りと燃費性能を誇っているのだ。
幅狭かつ、いま大流行のSUVタイプがいい……というなら、これまたスズキのクロスビーがある。最低地上高の余裕に加え、4WDを選べば走破性にかかわる機能も充実。メカニカル感たっぷりのインパネ、荷室まわりのタフな仕立てもなかなかと言っていい。
中古車まで視野を広げれば、ネオクラシックモデルの中に、最新の同型車とは比べ物にならないほど車幅が狭かったクルマがある。たとえばスポーツカーファンの永遠の憧れ、ポルシェ911だ。いま、人気再沸騰中の964(1989~1993年)と呼ばれる空冷時代の911の車幅は、現在の911の車幅1850~1900mmに対して、かなりナローな1660mmでしかなかったのである。とはいえ、ネオクラシックカーとしていまでは価格高騰。維持費を含め、よほどの憧れ、思い入れとともに覚悟が必要だが……。
そして最後に紹介するのが、もっとも時代っぽい、2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞の日産サクラ、三菱ekクロスEVだ。軽自動車規格の電気自動車であり、車幅はもちろん1645mm。しかし駆動はモーター。WLTCモードによる1充電航続距離180km、エアコンなどを使った実質航続距離は日々の実用上十分な約130km。サクラの場合、内外装の質感は下手なコンパクトカーをしのぐレベルにあり、また、走りはサクラ、ekクロスEVともにトルキーでスムースかつ素晴らしく静かで、電気自動車ならではの上質さの持ち主だ。充電環境に問題がなければ、ある意味、”いいクルマに乗りたいけど駐車場が激狭!”な人に最先端かつ最適の1台となるのではないだろうか。