スーパーカーはほぼストレスフリーなのが魅力!
逆に言えば、チューニングカーは走るフィールドを限定さえすれば、かなり速く仕上げることができる。先述のエスコートのランエボは、スーパーカー1台の価格どころではない費用が掛かっているが、フィールドを絞ればある程度コストを抑えることも可能だ。
たとえば、筑波サーキットに限って言うと、スイフトスポーツ(ZC33S)に200万円程度のライトチューンを施すだけで1分2秒台を出すことは可能だ。ポルシェ911GT3(991)で1分1秒ほどをマークしていることを考えると、何分の一のコストでハイパフォーマンスカーの1秒落ちくらいのタイムが出せてしまう。
GRヤリスでも同様で、400万円ほどの車体に200~300万円くらいのチューニングで1分0秒台をマークしているデモカーが多い。このように考えると、コストパフォーマンスで言えばチューニングカーのほうが良さそうだ。
だが、チューニングカーは得意なフィールドとそうでないところがハッキリしてくる。サーキットでもミニサーキットをターゲットにするのか、国際レーシングコースをメインにするのかでも変わってくる。普段乗りの扱いやすさや快適性まで含めてくると、同等の速さを持ちながらも高速道路をゆったりと流すならスーパーカーのほうが快適だし、暑い日も寒い日もなんの気兼ねなく走れるのもやはりスーパーカーの方である。
とくに、ハイパワーなチューニングカーはこまめなメンテナンスが欠かせない。何十万キロも走りっぱなしでは済まないのだ。オイル交換などはもちろん、そもそも相当ハイパフォーマンスなタイヤを頻繁に履き替えなければ、本来のパフォーマンスは発揮できない。
対するスーパーカーは、少し前まではシビアな面もあったが、最近はごく普通のクルマとして使えるモデルが多い。そういった点まで見れば、決して高いだけのクルマではないのだ。
富士スピードウェイで300km/hオーバーを出して、そのまま乗って帰ってお買い物にも行けるというのは、チューニングカーだとなかなか難しいことなのである。
そういった意味でハイブリッド的な存在なのが日産のR35GT-Rだ。現行モデルであれば1000万円代前半で買えて、ちょっといじれば筑波で1分切りができ、富士で300km/hオーバーも可能。それでいてお買い物にも使えて快適性も高い。ドノーマルではそこそこのパフォーマンスだが、数百万円のチューニングでとんでもない虎にも、従順さを持つ猫にもなる。いろいろな意味でハイパフォーマンスなクルマなのだ。