スーパーカーよりも「安くて速い」チューニングカーも多数! だったらスーパーカーの存在って何? (2/2ページ)

スーパーカーはほぼストレスフリーなのが魅力!

 逆に言えば、チューニングカーは走るフィールドを限定さえすれば、かなり速く仕上げることができる。先述のエスコートのランエボは、スーパーカー1台の価格どころではない費用が掛かっているが、フィールドを絞ればある程度コストを抑えることも可能だ。

 たとえば、筑波サーキットに限って言うと、スイフトスポーツ(ZC33S)に200万円程度のライトチューンを施すだけで1分2秒台を出すことは可能だ。ポルシェ911GT3(991)で1分1秒ほどをマークしていることを考えると、何分の一のコストでハイパフォーマンスカーの1秒落ちくらいのタイムが出せてしまう。

 GRヤリスでも同様で、400万円ほどの車体に200~300万円くらいのチューニングで1分0秒台をマークしているデモカーが多い。このように考えると、コストパフォーマンスで言えばチューニングカーのほうが良さそうだ。

 だが、チューニングカーは得意なフィールドとそうでないところがハッキリしてくる。サーキットでもミニサーキットをターゲットにするのか、国際レーシングコースをメインにするのかでも変わってくる。普段乗りの扱いやすさや快適性まで含めてくると、同等の速さを持ちながらも高速道路をゆったりと流すならスーパーカーのほうが快適だし、暑い日も寒い日もなんの気兼ねなく走れるのもやはりスーパーカーの方である。

 とくに、ハイパワーなチューニングカーはこまめなメンテナンスが欠かせない。何十万キロも走りっぱなしでは済まないのだ。オイル交換などはもちろん、そもそも相当ハイパフォーマンスなタイヤを頻繁に履き替えなければ、本来のパフォーマンスは発揮できない。

 対するスーパーカーは、少し前まではシビアな面もあったが、最近はごく普通のクルマとして使えるモデルが多い。そういった点まで見れば、決して高いだけのクルマではないのだ。

 富士スピードウェイで300km/hオーバーを出して、そのまま乗って帰ってお買い物にも行けるというのは、チューニングカーだとなかなか難しいことなのである。

 そういった意味でハイブリッド的な存在なのが日産のR35GT-Rだ。現行モデルであれば1000万円代前半で買えて、ちょっといじれば筑波で1分切りができ、富士で300km/hオーバーも可能。それでいてお買い物にも使えて快適性も高い。ドノーマルではそこそこのパフォーマンスだが、数百万円のチューニングでとんでもない虎にも、従順さを持つ猫にもなる。いろいろな意味でハイパフォーマンスなクルマなのだ。


加茂 新 KAMO ARATA

チューニングジャーナリスト

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