ランナーが最高速度違反で捕まる心配はなさそうだ
ちなみに自転車で3年以内に違反切符による取締りまたは交通事故を2回以上繰り返した場合、自転車運転者講習(3時間、手数料5700円)を受講する義務があり、これを受講しないと5万以下の罰金になる。
現実的には、速度違反ではなく、安全運転義務違反(道交法第70条)が問われるケースが多いかもしれない……。馬や馬車での全開走行(?)も基本的には同じ扱いだと思っていい。
ところで乗り物を使わず、人間が生身でダッシュした場合はどうなのか?
ウサイン ボルトが9秒58の世界記録を出したときのトップススピードは、44.17km/hといわれているが、道路交通法には「車両」の最高速度の規定はあっても、生身の人間についての記載はない。
ちなみに42.195kmを2時間で走るマラソン選手の平均速度は、21.0975km/h。
しかし江戸時代の文献、例えば宮本武蔵の五輪書には、「早道といって、一日に四十里五十里(160km~200km)走る人がいる」と書かれており、江戸時代後期の剣豪、千葉周作の門弟にも大阪から群馬県の高崎まで三日で帰ってきたものがいるし、仙台藩の早足の達人、某源兵衛は、明六つ(日の出)に江戸を出て、仙台に暮六つ(日没)に着いたという記録も残っている!
人間だってなかなか速く走れるものだが、やはり最高速度違反で捕まる心配はなさそうだ。
その代わり、道路交通法 第七十六条(禁止行為)の「道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為」に抵触する可能性は考えられる。
人間だろうとクルマだろうと、自転車その他の乗り物だろうと、運動エネルギーは速度の二乗に比例するので、速度の出し過ぎには十分注意が必要だ。