この記事をまとめると
■日本から撤退した輸入車ブランドが再上陸を表明するケースがある
■ドイツのオペルが日本再上陸を発表したが期日は未定
■韓国のヒョンデは2022年に日本再上陸を果たした
ヒョンデはEVとFCVをオンラインのみで販売
輸入車ブランドで、日本に再上陸を表明するケースがある。たとえば、ドイツのオペル。
2010年代後半頃から、オペルに日本再上陸の噂が出始め、2021年9月になると2022年上半期発売予定となり、日本市場向けの専用ホームページが開設された。2006年に日本市場から撤退して以来、16年目の復活への期待が高まった。
オペルジャパンのホームページには、3つの量産モデルが紹介された。1台はコンパクトハッチバックの「コルサ」だ。82年デビュー以来、欧州のBセグメントで根強い人気を得てきた。
さらに、近年グローバルで進むSUVシフトを受けて、コンパクトSUV「モッカ」。都会派のスタイリッシュボディに1.2リッター+8速ATを搭載。
そして、小型SUVとしてはハイグレードな「グランドランド」。1.5リッタークリーディーゼルを搭載する。
こうしたオペルの日本再上陸が発表された背景には、新生ステランティスによる多様なブランドの融合的な戦略がある。日本では、ジープ、プジョー、シトロエン、フィアット、アバルト、アルファロメオ、そしてDSオートモーティブを要して、ユーザー層をしっかりと絞り込んだ上で限定車を発売することで、確実に販売を拡大してきた。
そうした事業戦略のなかに、オペルも加わる。つまり、旧オペルと比べて、日本再上陸の新オペルは、ブランドの立ち位置が変わったと言えるかもしれない。
ただし、長引く半導体不足による生産調整や、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格高騰に対応したサプライチェーンでの価格調整など、グローバル状況が不安定であるなか、オペルの2022年日本上陸は実現せず、新たな上陸期日については未発表の状況だ。
一方で、2022年に日本再上陸が実現し、メディアで大きな話題となったのが、韓国のヒョンデだ。
ヒョンデは、2009年に日本市場から撤退しており、13年ぶりの日本再上陸となった。以前はヒュンダイという名称だったが、日本を含めてグローバルで韓国語の発音に準じたヒョンデに統一された。
そのヒョンデ、日本人は実感があまりないと思うが、アメリカ、欧州、そしてインドなどでは定番ブランドとして定着しており、キアを含むヒョンデグループ全体の年間販売台数では、トップのトヨタ(1048万台)、第二位のフォルクスワーゲングループ(826万台)に次ぐ、685万台の第三位となっている。
メジャーブランドとなったヒョンデとしては、日本再上陸はグローバルでの次世代事業における最重要課題のひとつとして位置づけており、EVと燃料電池車をオンライン販売のみで展開するという秘策に打って出た。
自動車産業界はいま、技術やサービスの領域で時代の大きな転換に入っており、そうしたなかで、オペルやヒョンデのような、新たなブランド価値観による日本再上陸戦略の道が広がってきていると言えよう。