超カッコイイスタイリングに潜む罠! 洗車族のオーナーを泣かせた「カマロ」と「コルベット」 (2/2ページ)

傾斜しすぎたフロントウインドウには気をつけよう

 もちろん自分は、その新車のカマロZ28に大満足していた。走りは先代カマロよりはるかに洗練されたものになっていたし、繰り返すようだがなにしろそのスタイリングが素晴らしい。しかし、そのスタイリングに落とし穴があったことを、納車からしばらくして気づくことになろうとは。

「手が届かん」。

 そんなの最初からわかっているだろといわれそうだが、あまりにも傾斜が強く巨大なフロントウインドウは、洗車をしてその内側を磨こうと思っても、その下側まで手が届かないのである。

 自分の宝であるカマロZ28。他人に洗車を任せることなどできるわけがないという、このころはいわゆる洗車族だった自分は、毎週末にはせっせと昔バイトをしていたガソリンスタンド仕込みのテクニックを駆使してZ28に磨きをかけていたのだが、フロントウインドウの内側だけはどうしてもうまく汚れを落とすことができなかったのだ。

 モップを使うとか、身体を思いきりインパネの上に滑り込ませるとか、いろいろと作戦は考えたものの、いずれも自分が満足できるクオリティには至らないというのが現実だった。落し物もまたしかり。たとえば高速道路の通行券など、何度フロントウインドウの最先端までそれを落としてしまったことか。

 1997年には、第5世代として誕生したコルベットを買った。こちらも素晴らしいスポーツカーだったが、唯一の不満はカマロのそれと変わらなかった。

 それでもコクピットからはるか遠くに見えるフロントノーズは、スポーツカー乗りとしてひとつの誇りだったし、実際にこの第5世代コルベットの走りは世界に通用するレベルにまで進化を遂げていたことを記憶している。

 フロントウインドウが磨きにくくても、インパネからするすると物が落ちるとそれを回収するのが大作業になることも、可愛いといえば可愛い欠点ではないか。自分はいまでもそう思っている。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
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