この記事をまとめると
■EVに使用されるリチウムの資源確保が問題となっている
■リチウムは地球上に豊富にある元素だが手軽に採取できる量は限りがある
■今後のEVの普及にともない、どれほどの量のリチウムが必要かを予測しての採取が重要となる
豊富にあるからといって簡単に手に入るわけではない
世界的な電気自動車(EV)への移行を受け、そこに新型コロナウイルスによる物流の停滞やウクライナへのロシア軍事侵攻なども影響し、電気関係の部品供給が滞っている。半導体不足により、アイドリングストップを止めたり、電子キーのスペアをなくしたりといったことにもなっている。配線のワイヤーハーネス調達もままならないようだ。
EVでは、リチウムイオンバッテリーの電極材料としていくつかの金属候補はあるものの、いずれもリチウムの資源確保が課題とされている。まだ実用化に至っていないが、全個体電池と呼ばれるものも、中身はリチウムイオンバッテリーだ。
一方、リチウムという元素は、地球上に広く分布しており、海中には膨大な量のリチウムが含まれる。地殻中にもリチウムは多く含まれ、火山によって噴出したマグマが固まった岩石にも含まれる。つまり、元素としてリチウムはかなりの量が存在するということだ。
ただし、すでに実用化されていたり容易に採取できたりする方法でのリチウム供給は限りがあり、海水を含め、あらゆる含有物質からリチウムを採り出しこれを量産して採算にのせていくにはかなりの時間を要する。
石油の採掘と精製施設への投資と同じように、需要と供給の均衡が必要だ。いくら資源があるからといっても採取し過ぎたら値崩れを起こして採算があわなくなる。今後のEV普及がどのような速度で進むか、資源に関わる企業は先を予測しながら投資を行うことになる。