【試乗】デカくて可愛さがなくなった!? でも実物をみたら「やっぱりカングー」だった! (2/2ページ)

大きくなったボディはほとんど気にする必要なし

 さてさて、スタイリングはどうか。うーむ、……これはやっぱりカングーだ。顔つきはたしかに少々キリッとしたが、不思議なもので、最初に写真で見たときの精悍な印象は立体になるとさほど強くは感じられず、これまでのカングーの安穏とした優しげな表情を受け継いでることのほうに意識がいきがちになる。最新のルノー顔であることに間違いはないものの、眺め続けていると「どこからどうみてもカングーでしょ」という気持ちがどんどん強くなる。上手くやったな、と思う。

 ファンたちの懸念材料であったサイズはどうだろう? いや、間違いなく大きくはなっている。全長4490mm、全幅1880mm、全高1810mmm。これは2代目より210mm長く、30mm幅広いという数値。ホイールベースは2715mmで、これは15mm長い計算だ。こうして文字で見ると「ずいぶん大きくなったなぁ……」と思うのだけど、実際に走っているときにはあまり意識させられることはなかった。

 裏路地のようなところやタイトめなワインディングロードも走ったのだけど、実感としては駐車スペースの関係でシビアになる場面はあるだろうものの運転感覚的としては2代目との大きな違いは感じられない、といったところ。カングーならではの四隅の見切りのよさを受け継いでることが大きいのかもしれない。

 そのサイズ拡大は、当然ながらカングーのユーティリティを底上げするというメリットを生み出している。タイヤハウスのでっぱりがないラゲッジスペースは従来から使いやすさに定評があったのだけど、新型では荷室の前後長が110mm長くなり、容量は通常時で775リットル、リヤシートを倒せば2800リットルと、それぞれ115リットル、132リットルも広くなっている。

 リヤシートに座ってみると、とりわけ膝まわりのスペースにゆとりが感じられ、居住性のよさを実感する。MPVとしての正常進化、ということができるだろう。

 それならば肝心の走りはどうなのか。そこにカングーらしさはあるのか。

 このまま続けると絵巻物のように長くなってしまいそうなので、ドライバーズシートに座ってから感じたことは『つづく』とさせていただきたい。


嶋田智之 SHIMADA TOMOYUKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
2001年式アルファロメオ166/1970年式フィアット500L
趣味
クルマで走ること、本を読むこと
好きな有名人
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