「カッコいい」と思わせる要素がテンコ盛り!
新しい伝統を作る積極的なスタイリング
ふたつ目の理由は、つねに新しさを追求するスタイリングです。レクサスのデザイナーへのインタビューでは「レクサスは欧州プレミアムブランドなどに比べて後発であるぶん、伝統に欠けており、同じ土俵では戦えない。だから、つねに動きを止めず、新しい表現に挑戦する必要がある」という話をよく耳にします。
たとえば、スピンドルグリルだけを見ても、その大きさや形状はつねに変化(進化)していて、いかに新しさを感じさせるか、どうやってボディとの一体感を出すかにチャレンジしています。新型LXの枠のない表現や、RXのスピンドルボディなどは、まさにその流れに沿ったものと言えます。
また、2016年に行われたISのマイナーチェンジでは、あたかもフルモデルチェンジと呼べるほどの大胆な変更が印象的でした。こうして、つねに「新しさ」を追求するやり方は、目新しいものが大好きな日本のユーザーにピッタリだと思えます。
ネクスト・チャプターへの期待
そして最後は、現在進行形の新しい取り組みへの評価です。レクサスでは、2018年に現在のデザイン本部長が着任以降、具体的には新型のNXから次世代デザインへの移行が始まっています。
「機能的本質や動的性能に根差したプロポーションと独自性の追求」と謳われるそれは、文字どおり機能面に沿った必然的な姿勢と、同時にオリジナリティも両立させるという、両極のふたつの要素を高い次元で融合させようというもの。
NXも然り、最新のRXにも見られる重心の低さや、四隅に張り出したタイヤによるスタンスのよさが前者であり、そこへ盛り込む新しいグリルの表現や、大きな面の動きなどの個性が後者です。
言ってみれば、レクサスデザインの第2章ともいえるこの取り組みは、純粋に「カッコいい」と思わせる要素がテンコ盛りであるということ。無意識の面も含め、それが多くのユーザーに浸透し始めていると思われるのです。
さて、今回は3つの視点でレクサスデザインの好評ぶりを検証してみました。こうして変化を恐れない姿勢がブランドの特徴ですが、願わくば、旧型がいきなり陳腐化することがないよう、基本を磨き込んだデザインを期待したいものです。