輸入車がいい人にはこちらをどうぞ
フィアット・パンダEASY
運転がさほど上手でない方には、本来であればトールボーイの軽自動車をおすすめしたいところ。アイポイントが高く、車体の四隅をつかみやすく、しかもコンパクトなサイズとくればどこへでかけても怖いものなし。ですが、お金持ちはケチなフェーズでは徹底的に経済合理性を突き詰めるくせに、妙に見栄を張る傾向があるため「軽自動車はちょっとねぇ」となりがち。
そこで、軽の枠に収まるようなサイズながら、輸入車という見栄も張れ、しかも可愛らしいというフィアット・パンダEASYです。ターボ付きとはいえ2気筒875ccというミニエンジンですが、イタリアの山村をブイブイ走りまわれる元気なもの。イージーの名のとおりATで乗れますが、慣れたらシフトレバーをクニャクニャかきまわすのもオツなもの。お迎えにいったお孫さんが「ばーちゃん、なにやってんの?」と目をキラッキラさせること請け合いです。
セカンドカーとして乗り倒すのであれば、ファーストカーもぜひイタリアンメイドにこだわってほしいもの。フェラーリのプロサングエあたりだと、パンダとのコントラストが効いてじつにリッチなガレージに見えるのではないでしょうか。
ルノー・トゥインゴ
どうやらトゥインゴの名はディスコンとなり、後継には「5(サンク)」という伝説的な車名が復活する噂もあるようです。いずれにしろ、コンパクトで魅力的、かつ高級っぽいニュアンスを作らせたらルノーの右に出るメーカーはありません。
ベースはスマートだったのですが、いつの間にか本家のモデルは消滅。900ccターボエンジンをリヤに搭載するパッケージはいまやこのトゥインゴのみ。前述のHonda e同様に、4.3mという最小回転半径が意味するのは、「どこでも自由自在」な取りまわしが期待できるところ。スラントしたノーズの見切りも良好なので、あたかも船積みドライバーのようにセンチ単位で駐車できるようになるのも夢ではありません。
ただ、個人的にはスタイリングにクセというか、キャラが薄い気がします。ビビッドなボディカラーも悪くはありませんが、それこそ往年の「サンク・バカラ」のような深い色目で「ひっそり暮らすブルジョワ」を気取ってもいいのかと。ならば、購入時にオールペン、インテリアも外装にあわせて総張替え、なんて贅沢はいかがでしょう。乗り出し300万円に届くか届かないって、エルメスのバーキンより安いわけですからね。
バンデンプラ・プリンセス(番外編)
そもそもバンデンプラは、ロールスロイスやベントレーのボディを架装するコーチビルダーとしてスタートしていますから、メインユースがロールスやベントレーだったりしたらセカンドカーとしてはピッタリなチョイスかと。「クラシックカーは手間ひまかかって、普段使いには向かないのでは?」というご懸念もごもっともですが、お金持ちらしく金に糸目をつけずにメンテナンスしておけばまず問題ありません。ATやパワステだってあるし、一応クーラーだって付けられますから、コンパクトに乗りこなすにしても「気品」みたいなものが欲しいお金持ちにはオススメです。
金持ち仲間から「あら、ずいぶん古いの乗ってるわね」なんて言われても「手間ひまかかるけど、祖父の形見なの。オホホのホ」などとカウンターパンチをお見舞いできるはず。
もっとも、安全装備となると、ABSはおろかエアバッグすら装備されていないので、トーマス・クラウン・アフェア(華麗なる賭け)のマックイーンばりに厭世観を持ち合わせていないと、普段乗るのはためらわれる方もいらっしゃるかと。それでも、生命保険の増額くらいで見栄を張れるのなら安い買い物ではありませんかね。