ヘッドレストは事故の際の被害を軽減する
簡単にいうとヘッドレストは追突された際に頭が大きくのけぞるのを防ぎ、首の怪我(むちうちなど)を起きづらくするのが役割だ。保安基準ではヘッドレストのことを『頭部後傾抑止装置』と記していることからも、何のためについているパーツであるか理解できるだろう。
ヘッドレストの役割を十分に果たすためには、ヘッドレストの位置が調整できるタイプの場合は、頭をのけぞるようにしたときに後頭部にあたるような位置にするのがベターだ。
当然ながら、同じことは後席にもいえる。残念ながら後席ヘッドレストは細かく調整できないタイプが少なからず見受けられるが、可能な限り自分の体形に合わせて調整することが、万が一の怪我を軽くしてくれるのだ。
その意味では、後席ヘッドレストを取り外してしまうというのは後席乗員の安全性をスポイルしてしまうことになる。まれに「ヘッドレストがついているとカッコ悪い」といって取り外してしまうユーザーもいるようだが、後席に乗せる家族や友人の安全を考えれば、そんなことはできないはずだ。
それはさておき、前席ヘッドレストが必須という保安基準が適用されるのは平成24年(2012年)7月以降のクルマで、それ以前は運転席だけ義務であったり、そもそもヘッドレストが必須でなかったりする時代もあった。
当然ながら、現在でも後席ヘッドレストは保安基準の条件ではないので商用バンなどでは後席が簡易な背もたれだけでヘッドレストがついていないクルマも存在している。
いずれにもしても、新車販売時にヘッドレストがなかったクルマについては、その時点での保安基準を満たしていることになるので、対策せずとも問題なく車検は通る。ただし、安全性能として十分というわけではないので、その点は誤解しないようにしたい。