この記事をまとめると
■クルマは何台売れたら成功と言えるのだろうか?
■答えはボディタイプや車種によって異なる
■その理由を具体的な車種を挙げて解説する
あらかじめ想定している生産/販売台数の達成率で決まる
クルマは高額商品で、開発や生産にも多額のコストを要する。売れ行きが想定された台数よりも少ないと、経営にも悪影響を与えるから、達成せねばならない。
時々、設計が古くなって売れ行きも下がったのに、長期間にわたり細々と生産や販売を続けている車種がある。この場合、収支を合わせるために、一定の台数に達するまで生産を続けることもある。
つまりメーカーや販売会社にとって「何台販売できたら成功か」は、その車種があらかじめ想定している生産/販売台数の達成率で決まる。
たとえば軽自動車は、もともと薄利多売の商品だ。1カ月に想定される平均生産/販売台数が7000台、1年間なら8万4000台、6年間にわたって生産すれば約50万台という具合に想定して、開発や生産コストを決める。
ミニバンは、軽自動車と同じく国内販売が中心だが、価格が高く1台当たりの粗利も多い。そうなると軽自動車に比べて、生産/販売台数が少なくても採算は取れる。
さらに海外を中心に売られる車種は、日本国内で大量に販売する必要はない。そのためにレガシィアウトバックなどは、フルモデルチェンジ直後の2022年でも、1カ月の平均登録台数が約800台だった。それでも国内販売が成り立つわけだ。
レクサスLSの1カ月平均約140台のように、売れ行きがさらに少ない車種もある。
その一方で、アコードは、2022年の1カ月平均登録台数が約170台で、レクサスLSを上まわったが、2023年には国内販売を終了した。販売の低調な車種は、メーカーや販売会社に対する貢献度も低いため、アコードのように不意に終了することもある。売れ行きが低調だと、つねに危うい状態に置かれるわけだ。
以上のように販売の成功と失敗には、車両価格や1台当たりの粗利、日本と海外の販売比率、メーカーの戦略など、さまざまな事柄が影響を与える。