この記事をまとめると
■ガソリンスタンドの経営は大変だと言われてきた
■しかし現在は意外に儲かっているという
■理由は一時期、廃業が増えて1店あたりの給油量が増えたことなど
意外に儲かっているが環境的に良好とは言えない
ガソリンスタンドの経営は大変だと言われてきた。ガソリン自体の価格や人件費も高騰。ハイブリッドやEVの普及で給油量も減少するなど、取り巻く環境が厳しいのは素人でもわかる。しかし、最近は事情が違ってきているのだ。
意外や意外、ガソリンスタンドは経営的にはかなり良好で、データによれば2021年度に赤字だったスタンド運営業者は12.5%とほかの産業に比べて非常に少ない。ただ、黒字は1カ所あたり1000万円程度とされているので、大きく儲かっているわけでもなく、油断ならない状況ではあるだろう。
燃料自体の粗利はだいたい2割ぐらいで、ほとんどはよく言われるように税金類だ。2割だと1リッターで30円ちょっとくらいしか儲からないし、販売量もピークだった2004年が約6323万キロリットルで、それが2021年には約4452万キロリットルとなっているので、約3割も減っている。この点がガソリンスタンド経営は厳しいと思われている理由だろう。
それでも儲かっているのはなぜか? まずあるのは一時廃業が急増(ピーク時の半分以下)したことで、1店あたりの給油量が増えたから。さらに規制緩和もあって、ガソリン以外の商品をいろいろと扱えるようになったのもある。ちょっと考えただけでも、昔からあるオイルや洗車以外に、車検や簡易板金、レンタカーや車両販売などさまざまなものを扱っていて、売上比率からすると今や燃料販売はあまりないという状況なのだ。
と言っても、環境的に良好とも言えない。すでに見たように黒字額の少なさもあるが、経営を持続させること自体が大変になっている。ガソリンスタンドは地下にある貯蔵タンクは定期的な更新が必要で、この費用が捻出できないため、廃業するスタンドは多い。だが、ガソリンスタンドの跡地は汚染されていることが多いので、除染費用も必要になってくるし、タンクを取り出す費用もかさむ。つまりやめようにもどうしたらいいかわからないというのが実際で、知り合いのスタンドで「同業者に経営譲渡できないかとよく聞かれる」と言っていたが、「中小企業が多いので、譲渡されてもうまく経営できない」というのが実際のようだ。経営者の高齢化や後継者不足も背景にあるなど、農業に近い状況と言っていいかもしれない。今後は元売りによる直営店舗の増加などが予想される。